英語おもてなしで外国人観光客を魅了!タクシー英会話で活躍しよう!

PROFILE.
平木(ひらき)さん。タクシードライバー。国際自動車(㎞タクシー)株式会社三鷹営業所所属。2013年キャリア(中途)入社。前職は証券会社に勤務していた。第2回英語おもてなしコンテスト優勝者。趣味は落語鑑賞。(取材日:2016年2月29日)

今回インタビューしたのは2016年「第2回英語おもてなしコンテスト」で優勝した平木さんです。国土交通省関東運輸局が後援するこのコンテストでは、乗車から降車までの英語での挨拶を始めとする会話力・表現力・対応力・一生懸命さなどのタクシードライバーとして求められる「おもてなし度」を各項目5点満点で審査します。2020年に開催される東京オリンピックに向けて英語力の必要性がドンドン高まるなか、一足先に英語ができるタクシードライバーとして活躍する平木さんにお話を伺ってきました!

平木さん、英語おもてなしコンテストの優勝おめでとうございます!!!

ありがとうございます。

コンテストはどんな内容だったんですか?

審査員の前でタクシードライバーと訪日外国人の乗客役が英語でロールプレイングを行うんです。

緊張などしなかったでしょうか?

私は順番が一番目だったので、少し緊張しました。でも、普段通りの接客をするだけだと思ってやりきりました。

すると、見事優勝ですね!

正直言えば、私が所属する三鷹営業所のドライバーたちなら皆がかなり良いところまでいけると思うんです。国際自動車(㎞タクシー)の研修は丁寧ですので、教えられた通りのことを行うだけで高い評価がいただけると思います。鍛えるべきは英語だけですね。

その英語が難しいと思うのですが・・・

英語は度胸です。思いやりさえあれば間違っても大丈夫なんですよ。正しい文法でオドオドして話すよりも、たどたどしい英語でも自分はハリウッドスターだと思って堂々と話した方が絶対に伝わるんです。それに加えて研修通りの明るい対応や丁寧な行動があれば英語が苦手だって十分満足していただけるんです。

なるほど。平木さんはどうやって英語を勉強したんですか?

中学高校がミッションスクールだったので、英語の授業はネイティブ教師から受けていました。英語の成績は普通でしたが、学校の教育水準が高かったのだと思います。高校を卒業してから1年間オーストラリアに留学して英語を学んだこともあり、ビジネスシーンでも問題なく英語でコミュニケーションすることができます。

タクシードライバーになる前の仕事でも英語は使っていたのでしょうか?

そうですね。証券会社にいた頃は、ニューヨークで総務の責任者をしていたので証券取引の手配や決算書の作成、会計監査などを英語で行っていました。

ニューヨーク赴任中の一枚

ニューヨークから帰国後はソウルに赴任しましたが、こちらでも英語を使って仕事をしておりました。アドミニストレーションやファイナンシャルプランナーといった海外で通用する資格を持っておりましたし、英語に接する機会はかなり多かったと思います。

韓国赴任中の一枚

海外仕込みの実践英語がタクシードライバーになってからも役立っているんですね。

国際自動車(㎞タクシー)に入社前から東京観光タクシードライバーの存在は知っており、英語はある程度使える環境だろうと思っていました。しかし、ここまで英語が役立つとは思ってもいなかったですね。

そんなに海外からのお客さまは多いのですか?

かなり多いです。私は証券会社のコールセンターに在籍していたこともあるのですが、その時よりも英語を使う機会はタクシードライバーとなった今の方が多いです。

証券会社よりもタクシードライバーの方が英語を使うとは驚きですね!

タクシーにお乗りになる海外からのお客さまは日本語を話せる方が多いので、英語が苦手でも問題は無いと思います。でも、やはり旅先で母国語を話せる人と出会うと嬉しいですよね。「東京のタクシーで英語が通じるとは思わなかった!」と皆さん喜んでくださいます。

どんなことをお話しするんですか?

私は海外生活が長かったので、日本や東京の街が大好きなんです。ですから東京に対して良いイメージを持っていただけるように街のご案内をしたり魅力をお話ししたりしますね。「Tokyo is well-organized city, isn’t it?(東京はとっても整然としてきれいにまとまった都市だと思いませんか?)」と聞くと、「I can’t believe this is ten million city!(1000万人が住む都市だとは思えないほどだよ!)と返ってきます。車内での会話をきっかけに東京の魅力を再認識していただけると嬉しいですね。

素敵ですね。平木さん流の英語でおもてなしをするコツはありますか?

まずは英語が話せるドライバーだと認識していただくことからです。東京タクシーセンターが行う「外国人旅客接遇研修」でも習う「Where are you going?(どこに向かいますか?)」「Could you fasten your seatbelt?(シートベルトをお締めいただけますか?)」だけだと決まり文句です。「Is the air conditioning ok?(車内の温度はいかがですか?)」くらいまで聞けると、おっ、英語が話せるドライバーだなと分かっていただけますね。

英語が話せると認識された後はどうするんですか?

純粋に会話を楽しむだけですが、私が得意なのは「英語の訛り当て」です。

英語の訛り当て?

お話ししていると、アメリカ訛りか、ブリティッシュ訛りか、オーストラリア訛りか、ニュージーランド訛りか、カナダ訛りかが分かるんですよ。もしカナダのアクセントがあれば、「Which part of Canada are you from?(カナダのどこ出身ですか?)」と聞くと、「How did you know it!?(どうして分かったの!?)」と会話が一気に盛り上がるんです。

さすがですね!平木さんが海外のお客さまにぜひ知ってほしい!という東京オススメポイントはありますか?

やはり、人の良さです。よく思い出すのが、2年前の大雪の日です。営業中にタクシーの後輪に巻いたチェーンが切れて、車が動かなくなってしまったことがありました。一人で途方に暮れていると、通りがかった若者が一緒に手伝ってくれたんです。彼が呼んでくれた仲間たちと一緒に皆でタクシーを動かしたことを思い出すと今でも目頭が熱くなります。

素敵なお話しですね。

見ず知らずの人にこんなに親切にしてくれる若者がいるなんて、何て日本は良い国なんだと感動しました。トラブルが起こった時や、困った時は人の温かさがとっても沁みます。タクシードライバーも困っている人を助ける職業です。英語が話せなくたって、日本語が不安な方や慣れない土地でドキドキしている海外のお客さまの力になりたいと強く思っていれば自然と会話が続くものです。

最後に平木さんの今後の目標を教えてください。

先日東京観光タクシー認定ドライバーの資格をとったので、更なるキャリアアップとして通訳案内士の資格を取得しようと思っています。英語はタクシードライバーにとって必須スキルではありませんが、幅広いお客さまと接するための一つのツールとして絶対に役立ちます。今後、日本がますますアジアの重大都市になるにつれ、英語力もどんどん求められる時代になると思います。海外からのお客さまが更に増えた時に、自分の国の魅力を自分の口で存分に伝えることができるタクシードライバーになりたいと思います。「Amazing!」と褒めていただけると本当に嬉しいんですよ。これからも頑張っていきます。

平木さん、ありがとうございました!