今回取材するのは、新卒入社2年目の女性タクシードライバー若林さんです。
よろしくお願いします。
タクシーに乗って若林さんみたいな若い女性ドライバーが運転していたらちょっと驚いちゃいますね。
男性女性問わずに、「今日はラッキーだ!」と仰っていただけることが多いので、身だしなみには特に気を使うようにしております。
身だしなみですか?
清潔感の無いドライバーの車には乗ったら絶対にラッキーとは言えないと思うので、出庫直後と2人お客さまをお送りした後くらいのタイミングで口紅を塗り直すようにしています。また、後部座席からは私の後ろ姿がよく見えるので、髪の毛は乱れていないか、背筋はスッと伸びているかなど、気をつけていますね。
素敵な気遣いですね〜!
「今日はラッキーだ!」から、「今日はキレイな女の人のタクシーに乗れてラッキーだ!」に変えたいんです(笑)
若林さんはタクシードライバーの仕事を楽しんでいらっしゃるんですね。
今は楽しいですけど、辞めたいと思っていた時期もありますよ。
え、どうしてですか!?
乗務を始めて2ヶ月目くらいの頃に、仕事が苦痛に感じるようになってしまったんです。当時は道を間違えることも多かったし、道をどんどん覚えて営業収入(売り上げ)を伸ばしていく同期と比較して遅れている自分に焦りも感じていました。何でこの仕事をしているのだろう?この仕事は何に繋がるのかな?といった漠然とした不安も出てきて、「ああ、もう辞めようかな〜」と疲れてしまったんです。
仕事を始めたばかりの頃は未来への不安もありますよね・・・。
そういったモヤモヤしていたある日、幼稚園児のお子さんを連れたお母さんをお送りしたんです。普段通りに運転しているとお母さんが「また、お姉さんだね〜」とお子さんに話しかけているのが聞こえてきました。実は1ヶ月前に全く違う場所でお送りしたお客さまだったんです。
へえ〜!そんなこともあるんですね!
「もう仕事には慣れた?」「おかげさまで慣れてきました。最近はこのあたりもよく走っているんです」といった会話が盛り上がっているところで、お子さんが後部座席の真ん中に座りたいと騒ぎ出したんです。「真ん中にもシートベルトがあるので、それを使っていただいたら安定すると思いますよ」とお声がけすると、お母さんが「最近この子、タクシードライバーごっこをするのよ」と話してくれました。
タクシードライバーごっこですか?
「どこまで乗りますか?」と聞いて、お母さんが「じゃあ公園までお願いします」と言うと、「今、工事中なので行けません。一緒にお茶でもどうですか?」と聞くらしいんですよ(笑)
ええ〜!可愛い!そして中々リアルなのが面白いです(笑)
私も笑っていたらお母さんが、「あ!そういえばこのタクシードライバーごっこはあなたのタクシーに乗ってからやるようになったのよ」と教えてくれたんです。「ええ!嬉しい!」と喜んでいたら、お子さんが真ん中のシートから顔を出して「私、大きくなったらお姉ちゃんみたいになる!」と言ってくれたんです。
おお!それは本当に嬉しい!
自分が幼稚園の時の夢といったらお花屋さんやケーキ屋さんだったので、幼稚園児の夢の選択肢の1つにタクシードライバーが入ったことがすごく衝撃だったんです。お客さまがご降車されて見えない所まで行った瞬間、号泣です(笑)
お話を伺っている私も感動です!
「あの子が大きくなるまでタクシードライバーは辞められないな」と思いましたね。その日から仕事を辞めたいとは思わなくなりましたし、仕事に慣れてくると乗務がだんだん好きになってきたんです。お客さまをお送りするという内容は同じですが、常に違う道で、お客さまも十人十色なので、毎日が新鮮で飽きないです。
仕事を辞めたいと思っていたのが一転するくらい、印象的な経験だったんですね。
まだまだ女性タクシードライバーは少ないのが現状ですが、国際自動車(kmタクシー)は女性ドライバー採用も積極的に行っています。街に女性ドライバーが沢山増えれば、世間の考えもどんどん変わってきて、あの女の子みたいに「将来はタクシードライバーになりたい」と言ってくれる子どもたちも多くなると思うので、お手本になれるように頑張りたいと思います。これからは人事として新卒採用の仕事にも関わっていくので、タクシードライバーの魅力が学生の皆さんにうまく伝わるように心がけていきます。
現役タクシードライバーが人事として仕事内容を説明するのは説得力がありますね。若林さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。