路上で寝ている人を見逃さない!
ドライバーに求められる安全意識
日野さんは昨年、路上で寝ている方(路上横臥者)を何度も保護され、表彰を受けられたと聞きました。
昨年だけで4回の保護に関わりました。3月の終わり、5月、そして秋頃と保護が連続したので、表彰の時期が重なりました。一昨年の秋頃から意識して取り組み始めたのですが、不思議なもので一度意識のスイッチが入ると、乗務中に路上で倒れている方(路上寝こみ者)の姿に自然と気付けるようになったんです。
具体的に、どのような状況で見つけることが多いのでしょうか?
路上寝こみ者を見つけることが一番多い時間は、朝の4時頃。薄暗いけれど、やや明るさもある時間帯です。実際にあった事例として、恵比寿のアメリカ橋の裏通り、線路沿いの一方通行の道で路上寝こみ者が目に入りました。駅の西口に行こうとした瞬間、道に人が転がっていたんです。クラクションを鳴らしても反応がなかったので、「これは寝ているな」と判断して警察の方を呼びました。その他の事例でも、似たような時間・場所で、路上寝こみ者の保護に関わりました。
他の事例で、とある場所で遭遇した路上寝こみ者の件は、焦りましたね。僕が警察に通報している間に、通りすがりの人がその人を起こしてしまって。その方がフラフラと立ち上がって、交差点の横断歩道の真ん中まで出てしまったんです。「これは危ない!」と思って、慌てて抱え上げました。この腕力ですので、軽々と持ち上げられます(笑)。
「助ける」という意識が、結果として「事故を防ぐ」ことに直結しているのですね
事故は、意識の散漫や怠慢から起きるものです。「救助すれば表彰、見逃して事故が起これば人命も仕事も失う」。そうした意識を持つドライバーの責任は重大です。また、都内の死亡事故を減らす一助になれているなら、会社としても個人としても誇らしいことだと思います!
「付き人」時代に磨いた空気を読む力!
道路は土俵。「勝負師」の戦略とは
日野さんは元力士という異色の経歴をお持ちですが、なぜタクシー業界へ?
佐渡ヶ嶽部屋所属の「琴日野」のしこ名で活動、引退した後は付き人時代に培った「気遣い」を活かせる場所として、ハイヤードライバーを志望したんです。ただ、面接の中で「あなたならきっとハイヤーよりタクシーの方が稼げますよ」とアドバイスをいただきました。実は、父親も親戚もタクシー関係の仕事をしていたので、なんとなく馴染みもあって、これも運命かと思ったんです。
採用担当の方は、タクシードライバーとしての資質を見抜いていたんですね!力士時代の経験が、今の仕事に活きていると感じる場面はありますか?
「付き人」をしていた時の経験が活きていると感じます。特に役立っているのは、お客さまが何を求めているか、車内の温度調整から会話のタイミングまで、力士時代に磨いた「空気を読むスキル」ですね。また、YouTubeでニュースを聞いたりネット記事を読んだりして、常に情報を仕入れるように心掛けています。お客さまから、フランクに「最近どうよ?」なんて聞かれることも多く、話の流れで政治や経済の話題になることもあります。その際、自分の意見を伝えながらも、相手に不快感を与えないようやり取りする、柔軟で繊細なコミュニケーション能力が求められるんです。このスキルの原点は、付き人時代の経験にあると思います。
「タクシードライバーの仕事」と「相撲」、通じる感覚があるのでしょうか?
ええ、間違いなく。タクシードライバーの仕事って、「二択の連続」なんです。「今は、こっちの道に行くべきだ」「この時間は、あっちの方面か」。常に一歩先を捉え、戦略的に考える。道路をフィールドに見立てて先を読み解く感覚は、ある意味ゲーム的で、「力士」としての本能をくすぐります。予想が当たった時の気持ちよさは、アスリート特有の感覚に近いので、スポーツ業界からの転職やセカンドキャリアとしても、おすすめできるんです。
なるほど、アスリートの「勝負師」としての感覚はタクシードライバーの適性として抜群だと
「察する力」「状況を読み解く力」その能力を持つ人は、タクシードライバーとして成功すると思います。
自由な時間と高収入!
転職で出会えた最高の景色。
接客において大切にしている「日野さんの流儀」を教えてください
お客さまへのホスピタリティについては、多くのドライバーさんが語っているでしょうから、敢えて違う側面からお話しします。「理不尽なことには引かない」。これもまた、「流儀」だと思います。ドライバー職において、お客さまとのコミュニケーションに不安を感じる方もいらっしゃると思うのですが、ドライブレコーダーもありますし、自分の意志を貫くべき場面では客観的な視点を保つことを心掛けています。タクシードライバーとお客さまの関係もまた、人と人とのやり取りです。お互いにリスペクトを持てる距離感を大切に仕事に臨むことが、心身ともに健康に働くためのコツだと思います。
これまでの乗務の中での、お客さまとのエピソードを教えてください
以前、お客さまと相撲の話で盛り上がったことがあったんです。とても素敵な時間を過ごすことができて嬉しかったので、住所をお伺いして後日、私のツテで手に入れた力士のサイン入りカレンダーをお送りしました。すると、すごく喜んでくださって!自分なりの仕事のポリシーを追求して「ファン」になってもらう。それがタクシードライバーの仕事の醍醐味だと思います。
現在のワークライフバランスについて、いかがでしょうか?
何より自分の時間が作れることが嬉しいですね。力士を引退してから、しばらく飲食業界で働いていたんですが、その時代は忙しすぎてプライベートの時間を持つことができませんでした。そのため、お世話になった相撲部屋の行事へ顔を出すこともできなかったんです。今は自分でスケジュールを組み、自由度の高いシフトで働くことができます。餅つきや新年会など、相撲部屋のイベントへ行き、お世話になった方々へ挨拶ができます。それでいて、収入は以前より高いんです。相撲部屋との繋がりは今でも続いていて、親方も僕が表彰されたことを喜んでくれています。それがまた、励みになるんですよね。
自由な時間があるからこそ、新しい挑戦もできる!
そうですね。その「挑戦」の幅も広く、NHKのある番組で再現VTRへ出演させていただいたり、映画祭に出るような作品に出させていただいたりしました。40歳を過ぎてから、タクシードライバーという仕事を通じて、こんなに面白い体験ができるとは思ってもみませんでした。
日野さんにとって、国際自動車(kmタクシー)とはどのような場所ですか?
「いい会社」という表現から一歩進んで「楽しい会社」ですね。胸を張って言えます。先程から申し上げている通り、経験の種類と幅が広いですし、かつていた業界での経験が、この仕事でさらに輝くんです。キャリアを積み上げたからこそ見える景色があるんです!
本日は貴重なお話をありがとうございました!
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