「恐怖心」という弱さが、大きな力に変わる。一つの仕事に集中したい、そんな私が出会った憧れの「バスドライバー」という仕事。

 

前職では苦手な仕事が原因でモチベーションは下降気味。魅力的に映ったバスドライバーの仕事。

まずは、これまでのご経歴からお聞かせください!

学生時代、最初の就職活動は正直な所「就職」に対する意欲がなく、目に入った大手観光会社の求人に応募し、そのまま流れで就職を決めてしまいました。他の業界・職種に目を向けたことも特にありませんでしたね。

最初の仕事は「観光業界」。その会社では、どんなお仕事をされていたんでしょうか?

お客さまのニーズに合わせて、旅行のプラン・計画を立てたり、それに伴う様々な手続きや手配を行う仕事です。例えば修学旅行であったり、社員旅行であったり。さまざまな旅のサポートを行なってきました。職種としては、営業職に近い仕事。作成した旅行の計画をもとに、「こんな修学旅行はいかがですか?」「こんな社員旅行はいかがですか?」と電話営業を架けるんです。

観光の仕事と一口に言っても、様々な形があるんですね。

働いてみて初めて分かったんですが、どうやら私はいわゆる「サラリーマンの仕事」が苦手なようで。一度に複数の仕事をこなすマルチタスクの業務がなかなか上手くできないんです。日々の仕事がスムーズに進まないと、会社に行くことやプライベートの時間全体のモチベーションがどんどん下がり、気付けば負のループに。もっと自分にあった仕事を丁寧に探すべきだと思ったんです。

 

なるほど、それが転職のキッカケに。しかし、バスドライバーとは思い切った転身でしたね。

観光の仕事で、実際に旅行へ引率することがあるんです。その中で、バスドライバーの仕事を直近で見る機会がありまして。正直な気持ちを言いますと、「私にもできる」と思ったんです。バスドライバーは、基本的にはひたすら「運転」に向き合う仕事。運転中は、それ以外のタスクを同時並行で動かすことはありません。運転を終えた後、お客さまの案内。お客さまを案内した後、運転。一つひとつの仕事が明確に区切られていて、頭の中を整理しながら業務に取り組めると思ったんです。

確かに!マルチタスクの仕事から一度離れて考え直したい…そんなニーズに合った仕事だったんですね!

 

恐怖心を力に変えながら。すべてはお客さまの笑顔のために!

とはいえ、実際に乗務が始まってみると、イメージと違う部分もあったのでは?

大型のバスを運転するのは、素直に「怖い」と思いましたね…。ただ、バスドライバーの仕事を続ける中で、この「怖い」という感覚は決して悪い物ではないと思い始めたのも事実。「安全第一に仕事をする」という心の根底には、ひとさじの「恐怖心」があるんです。お客さまの安心・安全を守るために、「怖い」…すなわち危険なポイントに気付ける感覚はバスドライバー(運転手)にとっては大変重要な要素。恐怖心を感じるのはより繊細なアンテナを張れている証拠なんだと思い、自身の特性だと思うようになりました。今でこそ、スムーズに乗務をこなせるようになりましたが、敢えて「恐怖心」を忘れないように業務と向き合っています。

 

 

なるほど。マイナスの感覚をプラスに変えて働く…以前の「観光」のお仕事とは、モチベーションが大きく上がったのでは?

そうですね。お客さまが楽しんでいる反応を間近に感じられるのは、観光バスドライバーの仕事の魅力だと思います。例えば、子どもたちの社会科見学の際にドライバーを務める機会もあります。子どもたちがさまざまな学びを得る姿、その笑顔を見られるのは特権と言いますか。バスドライバーの仕事のモチベーションに繋がっています。

 

 

お客さまとの触れ合いもまた、この仕事の大きな魅力ですね!

ただ、思えば前職で観光の仕事をしている時にもお客さまの喜ぶ姿を間近にみていたはずなんですよね。仕事の中でやりがいを見付けられる余裕が生まれたのもバスドライバー(運転手)への転職のおかげ。自分に合う仕事を見付けられて、本当によかったと思います!

 

バスドライバーの先輩からのあたたかい言葉。高収入、社会的意義、バスドライバーの魅力。

 

バスドライバーの仕事は自分の特性に合った、まさに「天職」。ただ、周りの反応はいかがでしたか?

営業職からの転職。まったくの他職種ですからね…。でも、意外なことに周りからは応援の言葉が多くて。ネガティブな意見は、ありませんでした。「頑張って!」という言葉をくださった人たちの中には、現職のバスドライバーの方々もいました。むしろ、肯定的な意見を多くいただけたんです。現職の人たちがこんなに応援してくださるのは、良い環境でやりがいのある仕事ができるんだろうな、と安心して仕事を始められました!

 

 

観光バスドライバーの仕事の他に、今は路線バスドライバーの仕事もされているんですよね。

そうですね。「お台場レインボーバス」のバスドライバーも務めています。これもまた、やりがいのある仕事の一つですよ。こうして、バスドライバーとしてさまざまな業務をこなす中で、もうドライバー以外の仕事をしている自分を想像できなくなりました。

正直仕事が苦手だな…なんて思っている人こそ、視野を広げてドライバーという選択肢を考えてみてもいいのでは?高収入も見込めて、社会的意義もある。ぜひ、バスドライバーの世界に挑戦してみてほしいと思います!

 

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!