ハイヤードライバー歴40年の大ベテラン。信頼関係を築く秘訣とは?

PROFILE.
濱(はま)さん。ハイヤードライバー。国際ハイヤー株式会社所属。1974年入社。無事故35回賞受賞者。(取材:2016年4月5日)

濱さんの現在の仕事内容を教えてください。

委託ハイヤードライバーとして、企業側が用意した車両を運転して担当の方をお送りします。通勤をはじめ車での移動は私が運転します。

30年以上一つの企業専属でハイヤードライバーをやっていらっしゃるんですよね。

そうです。ハイヤードライバーとしてのキャリアは40年以上あります。

濱さんは先日、無事故35回賞を受賞されたと伺いました。30年以上無事故というのはとても素晴らしいことですね。何かコツなどがあるのでしょうか?

ありがとうございます。心掛けているのは、「もしかしたら?」「〜かもしれない」と常に考えて運転することです。私たちハイヤードライバーはカーレーサーではありませんので、特別な運転技術は必要ありません。快適な乗り心地を実現するための工夫は必要ですが、まずは安全に走行できるように注意することが先決です。

無事故35回賞受賞時の写真

濱さんは入社当時から運転が得意だったのでしょうか?

苦手ではありませんが、小さな事故は何度か起こしたことがありますよ。年を重ねたことで運転に余裕ができたのかもしれません。ですが、今でも地理の勉強は続けております。

ベテランの濱さんも勉強するんですか?

もちろんです。初めてお送りするところでしたら出勤前に下見に行きますし、遠い場所であれば車寄せの位置を事前に確認しておきます。今でも地理は分からないことが沢山あります。実際走らないと覚えられませんので、勉強に終わりはないと思いますね。

そうなんですね。濱さんは委託ハイヤードライバーとして活躍されていますが、委託ならではの苦労などはありましたか?

苦労と言うと大げさですが、お客さまとの信頼関係の構築と、適度な距離感が何よりも重要だと思います。

信頼関係と距離感?

幸いにも私は「濱ちゃんはうちの社員みたいだ」と社長に仰っていただけるほど信頼していただいておりますが、実際には社員ではありませんので、一度でも不愉快な思いをさせてしまうと次に繋がらなくなってしまうというプレッシャーが常にあります。

なるほど、信頼が増すにつれて責任も重大になってくるんですね。ですが、「うちの社員みたいだ」というのはとっても嬉しい言葉ですね。

そうですね。急遽予定が早まり秘書の方から「お迎え時間を変更してもらえませんか?」といった連絡が入る時があるのですが、「大丈夫だよ。はまちゃんだったらいつも20、30分前にはちゃんと着いているんだから」という声が聞こえてくると信頼を裏切れない緊張感と嬉しさが湧いてきます。

濱さんは、お客さまとどのように信頼関係を築き上げたのでしょうか?

失敗をしながら、一つ一つ地道にですね。

失敗したこともあるんですか?

お迎えの時間を1時間間違えてしまったことがあるんですよ。担当している社長が羽田空港を朝7時に出発するための送迎だったのですが、目が覚めた時には時すでに遅しでした。社長は偶然通りかかったタクシーに乗って間に合ったそうですが、今思い出しても大変申し訳ないことでした。

1度の失敗が信頼を左右する環境なのでミスは怖いですね。

社長が空港からお戻りになる際は、こわごわ1時間早く迎えに行ったものです。空港の中まで行って、土下座をする勢いで謝りました。「間に合ったからいいよ〜」と仰っていただけましたが、冷や汗をかきましたね。信頼や信用をつくるには仕事をコツコツ誠実に行うしかありませんが、失うのは一瞬です。失敗は絶対に繰り返さないという意識で続けてきました。

濱さんにとって社長はどういう存在なのでしょう?

自社の社長・・・ですかね。ハイヤーの世界ではお送りする方を「おやじ」と呼ぶ慣習があります。「ボス」に近い意味合いです。もちろん実際に「おやじ」と呼ぶわけではありませんが、ニュアンスは分かっていただけますでしょうか?

30年という年数があってこその「おやじ」なんですね。

30年もご一緒させていただいていると、朝の返事の調子でご気分を感じ取れるようになりました。「今は話しかけない方がいいな」というタイミングなどは絶対に外さないというのも長く続けることができている理由の一つかもしれません。

なるほど。最後に今後の抱負を教えてください。

30年もドライバーを任せていただき、社長には本当に感謝しています。今後も努力を続けてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。・・・といったところでしょうか。恥ずかしいですね(笑)

濱さん、ありがとうございました!