「小さな親切」を積み重ねて。ベテランドライバーが語る、「タクシー業界で活きる力」。

PROFILE

澁谷さん。世田谷営業所所属。タクシードライバー。2015 年新卒入社。

アパレル、飲食、そしてタクシー業界へ。この業界に辿り着いたワケ。

まずは入社のキッカケからお聞かせください!

アパレルから転職しラーメン屋の厨房で働いていたのですが、湯切りで肘を壊してしまいまして…。アパレルも飲食も「接客」を軸に選んだ仕事でしたので、一対一の接客ができるタクシー業界を選びました。

「接客」が転職のテーマだったのですね!その他に、転職の際に重視したことはありましたか?

営業所と自宅の位置関係も意識していました。今、営業所からかなり近い場所に住んでおり、自転車で通勤しているんです。家からの近さを考慮して世田谷営業所を選んだという所はありますね。家から近いことで、「今日出勤できませんか?」という相談に対応できるという利点もあります。もちろん強制ではありませんが、できる限り力になりたいという思いがあるので協力するように心掛けております。

ちなみにこれが、愛車のロードバイクです。

自転車通勤ですか!助け合いが重要なタクシー業界。家が近いと、選択肢が増えますね。

「小さな親切」が花開いた瞬間。

常に人を想う、ドライバーの姿。

これまでのお仕事の中で印象に残っているエピソードはありますか。

マタニティ・マイタクシーに登録されたお客さまが利用されたことがありました。「アクセルを踏みます」「ブレーキを踏みます」といった言葉とともに丁寧な運転を心掛けてお送りしたのですが、後日ご家族から感謝のお手紙をいただいたんです。今でもはっきりと覚えていますね。

確かに、手紙をいただくと思い出に残りますよね。

実は、その手紙が「小さな親切」運動で賞状をいただくキッカケになりまして。自分のホスピタリティが評価されるというのは嬉しいですね。今でも励みになっています。

なんと!「小さな親切」の輪が広がるといいですね!こうした「ならでは」の経験を、後輩たちに伝える場面はありますか?

後輩に伝える機会はありますが、「指導」のような堅苦しい物ではありません。あくまでアドバイスとして伝えています。また、自分から発信するということは少ないです。アドバイスを求める若手ドライバーが求めてくれるなら…という程度です。上から目線で言われるのは、気分がよくないと思いますから。

常に他者のことを思う姿勢に脱帽です。アドバイスの際にいつも掛ける言葉はありますか?

いつも言うのは「第一印象を大切にしなさい」という言葉。実は私は一度もクレームをいただいたことがないのですが、すべて第一印象の力だと思っています。最初の挨拶で失礼がなければ、万が一ミスをしてしまった場合でもお客さまにご理解いただけることが多いのです。もちろんミスなしでお送りできることが一番ですが、ミスをした際にいかにカバーするかということも大切です。このカバー力を支えるのが「第一印象」なのです。

確かに、コミュニケーションの礎となるのは会った瞬間の印象ですね。トラブルやミスを経験して成長する若手ドライバーだからこそ、このカバー力を磨くことが大切なのかもしれません。

若手に学ぶ、ベテラン。

澁谷さんの仕事論に迫る。

アドバイスを行う場面も多いという澁谷さん。率直に、今の若手ドライバーにどんな印象をお持ちですか?

新卒ドライバーには関心させられますね。経験豊富なドライバーとは異なり、まっさらな状態からスタートするのでとにかくがむしゃらに吸収しようとするんですよ。その前のめりの姿勢には、刺激を受けています。

なんと、正直意外な答えでした。ベテランドライバーが若手に刺激を受けているとは。

年代・性別を問わずドライバー間のコミュニケーションは活発ですよ!コロナ渦以前は各営業所ごとにイベントを行い、交流を深めることもありました。貸し切りバスに乗ってバーベキューに行くなど、福利厚生の一環として様々なイベントが用意されています。家族や友達も参加可能です。私の家族も非常に喜んでいますね。

なるほど。そのような場での交流もまた、年代・性別を超えたコミュニケーションに繋がっているのですね。少し話は変わって、澁谷さんの「仕事論」に。澁谷さんならではのこだわりはありますか?

とにかく体調を崩さないことが優先ですね。乗務の際は長時間座ることになるので、腰を痛めないようにテンピュールのクッションを使っています。

飲食業界で働かれていた際に身体を壊されて転職を選択したとおっしゃっていましたね。この経験が今の仕事論に繋がっているように感じます。

そうですね。また、最近ではスマートフォンも欠かせません。基本的にはナビを使用してお客さまをお送りするのですが、時にはマップアプリを使うこともあります。運転中に使用するというより、最初に目的地をお伺いする際にお客さまとルートを確認するために使用します。ナビでは確認できない道を詳細に確認できることがあるので、並行して活用しているんです。

自身の健康をキープしながら、お客さまへの親切を忘れない。それが澁谷さんの流儀ですね!本日は貴重なお話をありがとうございました!