「サポート役に回る」仕事への憧れ。黒塗りの車を運転する、あの仕事の正体は・・・。
タクシードライバー、ハイヤードライバーとして活躍中の田村さん!学生時代はどんな学びを専攻されていたのでしょうか?
学生時代は国際系の学部で、世界各国の地域の特性について学びを深めました。学部の特性上、同期達は観光業など海外で活躍できる仕事を求めて就職活動を進めていました。CAを目指す学生も多かったように思います。ただ、就職活動の時期が丁度コロナ禍と被ってしまいまして…。国際系の学部にいた学生達にとっては特に厳しい就職活動でした。
ご自身も、観光業など海外での仕事を見据えていたんですか?
実は高校生の頃からモデル業など芸能の世界での活動を続けていまして。学生時代は、その道に進む気でいたんです。ただ、周りが就職活動に入る頃には自分も新しい道を探すようになっていまして。イチからスタートするなら、周りと同じ道を進むより、新たな選択肢を探す方がいいと思ったんです。芸能の世界での活動以外にも、さまざまな学びを得た物がありまして。一つは、学生時代のバスケットボール部での活動。ここでは副キャプテンを務めました。もう一つが、フードデリバリーの仕事でのアルバイト経験。バイトリーダーとして、車両とスタッフの管理を行っていました。それぞれの経験の中で共通していたのが、「サポート」役の視点。自分自身が「前に前に」進む仕事より、誰かを後ろから支えたり、適切な指示を出す種裏方の仕事が合っていると思ったんです。
なるほど。となると、芸能の世界での裏方を目指すという選択肢もありそうですが。
それが、あまのじゃくな性格でして(笑)。周りで裏方の道に進む人達が多かったので、自分は違う道に進もうと。
いい選択ですね(笑)!さて、その選択肢としてドライバー職を選んだ理由とは。
学生時代は運転する機会が多かったんですが、その中で「黒塗りの車」「白い手袋」のカッコイイ人達を見掛ける機会がありまして。ぼんやり、「あの仕事いいなあ…」と思っていたんです。ただ、「確か企業の重役の方をお乗せするような仕事だな」「でもあの仕事何っていう職業だろうな」…くらいの知識で(笑)。どうにかこうにか、「黒塗り」スペース「運転手」…とかで調べて国際自動車(kmタクシー・国際ハイヤー)に辿り着いたんですよ(笑)。ハイヤードライバーの仕事を知る中で、これは「サポート役」の最上級なのではないか、と。
ハイヤー乗れないなら辞めます!の結果、班長に。(?!)
部活動・アルバイト経験の中で気付いた自身の「サポート役」スキル。それを最大限活かせるのがハイヤードライバーだと。
はい。まさに天職だろうな、と思ったんですけど…。説明会の中でタクシードライバーという選択肢も生まれて(笑)。ノリやすい性格でもあるので、タクシードライバーを薦められたら引っ張られてしまいまして!お客さまをお乗せした分だけ稼ぎに反映される歩合制、ある意味「ゲーム性」とも言えるようなシステムに熱くなってしまったんです。
なるほど、kmタクシーに入社してから自分に合っているのは「タクシードライバー」だと。
いえ、それが…。kmタクシーでは、ジョブトレーニング制度で内勤の仕事を体験できるんです。そこでハイヤー関係の部署の仕事を体験したら「自分に合っているのはハイヤードライバーだ!」と思ってしまいまして(笑)。ノリやすい性格です。
え、今度はハイヤードライバーに?!それって可能なんですか?
それが急な変更は難しく…。それでもどうしても変更したくて、先輩に「ハイヤードライバーになれないなら辞める!」と啖呵を切ってしまいました(笑)。そうしたらですね、今すぐ辞めるくらいなら一度班長職についてみるというのはどうかと勧められまして…。お前は班長向いてるかもよ、と。
班長職、ですか。
嬉しくなっちゃった。
…?
いや、班長こそ周りをサポートする仕事。その仕事が合っているって言われて、なんか嬉しくなっちゃって。ハイヤードライバーか、タクシードライバーか、って言っていたのに班長職という選択肢まで。新たな可能性が生まれました。
その一言で今度は班長に…!
ノリやすい性格なんで。
それで班長職について、新しいサポート役という立場へ。
元々口調が強いタイプではないので、合っていると思いますね。班長職はドライバー間のコミュニケーションを円滑に取りまとめる役目。これまで培った部活動での学び、アルバイトでの学び、芸能活動での学び、すべてが活かされていると思います。
中でも、どのようなスキルが活きていると思いますか?
特に、部活動での経験が活きていると思います。バスケットボールのイメージとして、個性の強い腕自慢が自身の自我をぶつけながらチームを組んでいる…という感覚がありまして。言葉を選ばず言えば、「自己中心的な部分を持ち合わせる癖の強いメンバーが、エゴをぶつけ合いながらも、チームとして上手くやっている」という状態がいちばん強いんですよ。その「チームとして上手くやっている」状態を築くのがキャプテンや副キャプテンという立場です。この考え方、そのままタクシードライバーの人達に当てはまるような気がして。
なるほど、一種の組織論。一人ひとりのドライバーをチームとしてまとめる方法ですね。
タクシードライバーは乗務中一人きり。一人で責任を持って働き、自身の仕事論やルール、ルーティンを確立しています。誰もが自分の働き方を大切にしているので、無理にまとめようとすると反発してしまうんです。反発を生むよりも、個々人の働き方を尊重しながら強いチームを作るのが最善策。ここで、班長の出番です。周りのコミュニケーションを円滑化し、組織としての成長を図る。これまでの学びを活かして、自分なりの班長論ができあがっていますね(笑)。
一人ひとりの個性を活かして、組織のあり方を考える。
ただ、タクシードライバー・班長職に加えてハイヤードライバーとしての仕事も担当しているそうですね。
実は東雲営業所は特殊で、タクシードライバーも時折ハイヤードライバーとして仕事を担当することがあるんです。結果的に国際自動車ではタクシー・ハイヤー・班長と興味のある仕事はすべて体験することができました。さまざまな仕事を経験して振り返ると、自分は「この会社で何ができるんだろう?」と模索し続けていたからこそ、タクシーもハイヤーも班長もしてみたくなったんだと思います。こうやって、色々やってみることが大事かも。だから、今でも自分の道を一つに絞るのはやめて、とにかくぜんぶやってみるつもりで取り組んでいます。
様々な仕事を経験しているからこそ見える景色、気を付けている点などありますか?
やはり、安全管理は大きな課題だと思います。一人ひとり違うポリシーを持っているからこそ、ルールを統一し切れていない部分もあると思うんです。ただ、どの人も心掛けるべきなのは安全を守るための行動を習慣の一部にすること。外に出る時に靴を履き忘れないのと同じで、習慣化が完成してしまえば忘れないはずです。例えば、私が実践している習慣化。運転席のドアを開ける際は左手で開けることをルール化・習慣化しています。『左手でドアを開けると、自然と身体が後ろを向く形になるんです』首の動かし方、身体の動かし方が変われば視野が広がる。小さなルールが大きな変化をもたらすんです。
なるほど!こうした一人ひとりの習慣がすべてのドライバーに共有できると面白そうですね。
先輩から学んだこと、研修で学んだことを自分なりに解釈して自分の習慣に落とし込むということから始めてみてほしいですね!
本日は貴重なお話をありがとうございました!