中国での通訳経験から新たなキャリアへ!
友人の紹介で知った、未知のタクシー業界。
中途入社で国際自動車(kmタクシー)へ入社された張さん。まずは、これまでのご経歴からお聞かせください。
最初のキャリアは出身の中国で。中国・蘇州に構える台湾の会社で通訳の仕事をしていました。その関係で当時から日本語を話していたんです。お仕事の関係で出会った日本人の方とご縁があって結婚し、そこから6年間ほど中国で共働きの結婚生活。夫が仕事の関係で日本へ帰るということで一大決心、退職して日本へ渡ったんです。それから7年間、ちょっとしたアルバイト勤務以外、仕事をすることはありませんでした。
長い間、仕事からは離れていたんですね。
そうですね。時間に余裕ができて、もう一度働こうと思い立ったのですが、就職活動は困難を極めまして。一年に数回中国へ帰省をしようと思うと長期の休みを取る必要があります。いわゆる普通の仕事では、そんなにまとまった休暇を取ることは簡単ではありません。スケジュール組みに比較的融通が利く業界・職種を探したいと思いながらも、転職先の選択には年齢的な壁もあります。そんな中、友人からの紹介でkmタクシーについて知りました。
知人からの紹介がキッカケだったんですね。
中国にいた頃から運転はしていましたので、業務に関する不安はありませんでした。実は元々、パイロットを目指していたという過去もあって…。運転が好き、東京の街も好き。仕事の中で運転も街も、もっと好きになる素敵な仕事だと思ったんです!
タクシードライバーの仕事への興味関心が深まり、そのままkmタクシーへ入社。親族や友人からタクシーへの批判的な意見はありませんでしたか?スムーズでしたか?
いえ、実は…。私はタクシードライバーとして働きたいという前向きな気持ちだったのですが、周りは違った反応で。タクシードライバーとしての就職という選択に対して、やや批判的な意見を貰うこともありました。
おや、タクシードライバーに対する偏見があったとか…?
夫をはじめ、家族はタクシードライバーという仕事に対してあんまりいいイメージを持っていなかったようで。タクシー業界、タクシードライバーへの偏見は、結構あるみたいですね。「ドライバーになるって、本気か…?」と不思議がられたんですが、この逆風の中だからこそ頑張ろうと思えました。入社が決まり、地理に関する試験は一発で通って、タクシードライバーとしてデビュー。新しい環境でどんどん前に進んでいく私の姿をみて、少しずつ周りの反応が変わっていきました。
ドライバーとしてデビュー!そして逆境も。そんな時支えてくれたのは、営業所の仲間達。
張さんの前向きな姿勢が、周りの人々のタクシードライバーに対するイメージを変えていったのですね!さて、ドライバーとして乗務を重ねる中で印象的だった仕事はありますか?
そうですね。一人ひとりのお客さまがそれぞれユニークな目的地を目指していらっしゃるので、それだけで面白いのですが…。以前、都内の住宅街の中の奥にある謎の喫茶店へお送りしたことがありまして。こんなところに喫茶店があるなんて知らなかったな~…と思っていたら…アルパカがいたんですよ。住宅街に。いや~、都内にこんな場所があるなんて…。勉強になりました。まだまだ勉強しがいがあります…!
民家でアルパカって飼えるんですね…。
私も飼いたいです(笑)。
これまでの通訳のお仕事とは大きく環境が変わったと思いますが、ドライバー職に変わって大変だったことはありますか?
地理試験に一発で受かった!…と言いましたが、それでも道を覚えたり東京の地理について学んだりするのは、なかなか骨が折れました。情報量が非常に多くて…。お客さまのおっしゃる目的地に対して、その場でルートを考えなければならない仕事。予習ができればスムーズな対応ができそうですが、多くの場合ぶっつけ本番なので…これまでの経験と知識を武器に仕事をこなすことが求められますね。
なるほど。それでは、ドライバーとしてデビューした最初の頃は、より大変だったのでは。
そうですね。仕事の中で知った場所は家に帰ってからもう一度地図上で確かめるようにしています。自宅の壁に大きな東京の地図を貼っているんです(笑)!
実は、道が分からずお客さまとトラブルになってしまったという苦い経験があって。強い口調で「中国に帰れ!」などと罵倒され、泣きながら営業所に電話を架けたんです。「もう働けません…」そう伝えて、辛い気持ちを抱えながら営業所に戻ると、所長・班長・仲間達、全員揃って私を迎えてくださって。
営業所の仲間達が支えてくれたんですね。
「今日からお休みを取って構いませんので、気持ちが落ち着いた時にまた営業所の方へいらっしゃってください」と言葉を掛けていただいたんです。その後は毎日毎日所長に電話をして(笑)、一週間後に戻って来ることができました。営業所のメンバーみんなが「困った時や、つらい時は美味しい物食べてくださいね!」と声を掛けてくださって(笑)。本当にあたたかい職場だな、と実感しました。会社、営業所に私の味方がいる。ともに働く仲間達が心の支えになり、仕事を頑張り続けることができています。
タクシーへの転職は性別・年齢・入社のタイミング… どんな人でも、輝けるチャンスがある!
旦那さまは最初タクシードライバーとしての就職に批判的だったとおっしゃっていましたが…ドライバーとしての経験を積んだ今、反応は変わりましたか?
どうやら今はもう偏見はなくなり、逆に尊敬のまなざしで私を見ているようです(笑)。仕事にまっすぐ向き合う姿勢を見せ、態度で示しているというのが一つの理由。もう一つは、シンプルにお給料という「数字」で実績を示すことができているからだと思います。
確かに、数字で示すことができると周りを納得させるデータになりますよね!
以前はほしい物がある時は夫に相談していたんです。それが、今は「自分で買えますよ~!」と宣言できるので(笑)数万円するLEGO(レゴ)を買ったりもしました。それが嬉しいですね。正直、働き始めるまでは、家でだらだらしていて、努力を見せる場面が少なかったと思うんです。それが、試験を受けて、仕事に出て、稼いで。三日坊主じゃない自分の姿を見せられたことが夫の心境の変化に繋がったんだと思います。
タクシードライバーとしてのキャリアがスタートしたことが、生活の変化にまで影響を与えたんですね。
女性が正社員として稼げる業界・職種というのは、未だに限られていると思います。そんな中で、性別や年齢、新卒・中途入社関係なく、同じ条件で稼げる点は働きやすさだけでなく、大きなモチベーションに繋がります。実は、タクシードライバーの仕事をしているとお客さまから「ウチの会社に来なよ~」なんて、スカウトされることもあって。ありがたい話ですけどね、タクシードライバーの仕事を、kmタクシーを離れる気はありませんね(笑)。
本日は貴重なお話をありがとうございました!