瀬沼(せぬま)さん。観光バスドライバー。ケイエム観光バス株式会社大森営業所所属。2018年6月キャリア(中途)入社。前職は飲食業で、元フランス料理シェフ。趣味はロードバイクで、営業所の地質地理研究会に所属している。(取材日:2019年1月16日)
今回はバスドライバーの瀬沼さんにお話を伺います!瀬沼さんはバスドライバーとしてデビューしてから約6ヶ月ということですが、もう仕事には慣れましたか?
そうですね、入社直後と比べるとだいぶ落ち着いて運転できるようになりました。とはいっても、まだまだバスの車体の大きさに戸惑うことがあります。運転席から見える景色が乗用車とバスでは全然違うんですよ。
運転席から見える景色ですか?
バスは視野が広いので、普段走っている道でもバスで通ると見えるものが違って混乱することがあるんです。先日営業所の旅行部が企画した三浦半島へのツアーの運転を任せていただいたのですが、その景色の違いの混乱が原因で二股の道路で曲がる方向を間違えてしまいました。途中でハッと気づいたのですが、バスは乗用車のように急に方向転換できないのでどうしようもできませんでした。常に余裕を持ち、焦らない運転がバスドライバーには必要だということを痛感しましたね。
バスの運転は決して簡単ではないのですね。
だからこそ、ケイエム観光バスのような教育体制がしっかりしている会社を選んで良かったと思っています。
どういうことでしょうか?
教習所で知り合った他社のバス会社に就職した人によると、会社によっては習熟度が不十分にも関わらず実践に送り出したり、いきなり遠出の難関コースに挑戦させたりする場合もあるみたいなんです。その会社ならではの考えがあると思うので、どちらが良い悪いではありませんが、私のような未経験者はケイエム観光バスのようにドライバーへのフォローが厚い会社が向いていると思いました。
ドライバーへのフォローが厚いというと?
例えば営業所での研修の一つにパイロンで作った狭道を走行するというものがあるのですが、それはできるまで徹底的に繰り返さないといけないんです。「できていないけど、時間も無いからまあ合格」ではなく、事故を起こさないための確かな運転技術をきちんとドライバーに身に付けさせようという会社の強い思いを感じました。しかも、フォローがあるのは研修中だけではありません。先ほど申し上げた三浦半島への旅行の際も、「あのときはこうすれば良かったんだよ」「こういうルートもあるよ」と教え続けてくれるんです。先輩方はサミットなどの国家行事や国賓の送迎なども経験したことのある腕利きのベテランドライバーたちですから、とても参考になるアドバイスをいただけます。私が転職先にケイエム観光バスを選んだ理由の一つは教育・研修の充実だったので、想像通りで安心しました。
良かったです!ちなみに、瀬沼さんは未経験でケイエム観光バスに入社したとのことですが、以前はどんな仕事をしていたのですか?
飲食業界に20年以上携わっていました。調理も給仕も売り上げ管理・店舗運営などの裏方も一通り経験するなどかなり熱心に取り組んでいたのですが、40代になってから何となく「ピークが過ぎた」と感じるようになっていたんです。この業界で再びバリバリ働いて年齢を重ねていくイメージがどうしても持てずにいたときに、昔から運転の仕事に興味があったことを思い出して、45歳で転職活動を始めました。
40代での転職に不安は無かったですか?
もちろん不安はあったので、転職活動は慎重に行いました。色々なバス会社のお話を伺っていると、妙に良いことばかり説明してくる会社もいくつかありました。こちらもいい年した大人ですから、そんな上手い話はあまり無いことを知っています(笑)
一方ケイエム観光バスはというと、条件や待遇などを誇張せず率直に説明していて、誠実そうな印象でした。第二の人生は、働き手思いの誠実な会社でスタートさせたかったので、ケイエム観光バスに入社を決めたんです。
しっかり吟味してたどり着いた転職先だったんですね。では実際に入社後、初仕事はどんな様子だったのでしょう?
初仕事は学生さんの社会科見学で、大田区の京浜トラックターミナルで物流について学ぶという内容でした。私は東京出身ですが大田区の地理には全く馴染みがなかったので、前々日から地図で猛勉強して、当日に先輩からルートを教わって運転しました。
事前対策はバッチリですね!
それでも当日はめちゃめちゃ緊張しました!車酔いを防止するために、コーナリングやギアチェンジなどかなり気をつけていたので気疲れで汗びっしょりになりましたね。
ありがたいことに、新人のうちは比較的難しくない仕事を回していただけます。例えば、大人数の旅行などバスが数台運行するパターンです。私のような新人は2号車、3号車を担当し、先輩方に付いていきながら道を覚えたり、実践の感覚を掴んでいきます。
初心者もそれだったら安心ですね。
前のバスと離れないようにと注意して運転するものの、最初のうちは技術不足のため乗用車が間に入ってしまって焦りました。面白いのは、小学生の旅行だと後ろから「1号車がいたよ!追いついた!」と盛り上がる声が聞こえてくるんです。他にも狭い道を走ると「すごい!こんなに狭い道を通るバス初めて見た!」とか、「今、運転手さんレバー戻したよ!」など、意外と運転席って見られているんだなあと驚きました。その反応が嬉しいですし、もっと楽しんでもらいたいというやりがいに繋がりますね。
今まで特に印象に残っている楽しい仕事って何ですか?
静岡県から観光に来た小学生のお客さまを、ディズニーランド近くのホテルまでお送りする仕事ですね。銀座を走行しているあたりから、イルミネーションがチラチラ見えていたので、何となく外を見たそうな雰囲気を後方から感じていたんです。ですが、実はこの先のレインボーブリッジから見えるお台場の夜景がメインイベントでしたので、あえて何もせずに走っていました。そして、レインボーブリッジに差し掛かったとき、ここだ!と思って電気を落としたんです。すると車内から「わーっ!」という歓声が上がりました。「すごい!宝石みたい!」と窓に釘付けになる子どもや、感動して声も出ない子、さらには感極まって泣いている子もいたんです。
演出大成功ですね!
銀座で我慢したかいがありました(笑)車内をいかにして楽しく過ごしてもらえるかは、先輩やバスガイドさんと協力して常に試行錯誤していることなので上手くいって良かったです。
正直なところ、この年齢でこんなに良い転職先に巡り会えるとは思っていませんでした。仕事にやりがいがあって、営業所の人間関係も最高。お客さまの命をお預かりしているというプレッシャーは常に感じていますが、会社が色々とドライバーの負担を減らしてくれる工夫をしてくれているので、私は私のやるべきことをしっかりやろうと思っています。
とても満足のいく転職だったんですね。
実は入社して良かったなと最も感じたのは、先輩方のかっこよさを見たときなんです。ケイエム観光バス独特のまるでホテルマンのようなシックで落ち着いたカラーの制服を着て、髪をピシッとまとめて、大きなバスをスムーズに扱う先輩たちの姿は本当にかっこいいので、ぜひご覧になっていただきたいですね。
前職で燃え尽き、新しい生き方を探していた私にとって、ケイエム観光バスに出会えたことは非常に大きな意味がありました。こんな風に歳を重ねていけたら素敵だなと思う先輩が近くにいることはとてもありがたいので、私も少しでも早く近づけるように腕を磨いていきたいと思います。
応援しています!瀬沼さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。