退学と復学を繰り返した学生時代の経験がタクシードライバーという仕事に活かされている

PROFILE.
中島(なかじま)さん。タクシードライバー。2013年6月キャリア(中途)入社。台東営業所所属。前職は宅急便会社で働いていた。8月より、人財研修課に出向中。趣味はカラオケで、ケミストリーをよく歌う。(取材日:2014年10月15日)

中島さん、本日はよろしくお願い致します!

よろしくお願いします。

人財研修課に出向して2か月目と伺いましたが、どんなお仕事をされているのですか?

コーチと呼ばれ、研修生に対して、ドライバーになるための研修を行う仕事をしております。例えば実習コースをまわって説明したり、専用乗り場の説明をしたり、座学の授業をしたりしています。
大学時代に塾の先生をやっていた事もあり、教える事が好きなので、教えることによってタクシードライバーという仕事についてより深く理解して頂いたり、出来なかったことが出来るようになったりとかっていうのはやっぱり嬉しいですよね。

塾の先生をされていたんですか!何の教科を教えていらっしゃったんですか?

大学では、理工学部に在籍しており理系だったので、中学・高校生に数学を教えていました。大学は、2年生の時に中退してしまったんですけどね。

そうだったんですね。差支えなければ、理由をお聞かせ頂けますでしょうか?

あまり大学に行く意味を見いだせなかったんです。学んでいる内容が専門的過ぎて、「社会に出た時に、これがどんな場面で何の役に立つんだろう?」と考えてしまいました。勉強している内容が、将来社会に出た時に何に直結するのか具体的に分からない事に対して不安を感じていたんです。
そんな想いから退学しましたが、先ほど話したアルバイトをしていた塾の塾長から「大学は卒業した方が良い」と言われ、復学しました。塾長には小学生の時からからお世話になっていたので、恩師というか、もはや親のような存在だったんです。そんな彼が言うのだからと、復学しました。ですが、自分の大学に通う事に対する疑問は解消されないままに復学したので、結局また同じ悩みに苛まれ、退学してしまいました。

辞めた後は、手に職をつけようと思ってフリーターをしながら資格の勉強をしていました。何年かチャレンジしましたが資格は取得できず、正社員として働こうと宅急便会社に入社しました。フリーター時代、ピザ屋の宅配のアルバイトをしていたのですが、道を覚えながら走るのが楽しかったので向いているかなという想いから運輸業に就いたんです。しかし思うように稼げず、1年で退職しました。そして稼げる運輸業をやろうと考え、挑戦したのがタクシードライバーだったんです。

実際にタクシードライバーになられてみて、いかがでしたか?

入社以前に抱いていた「タクシー会社」に対するイメージと、全然違いました。運転が荒いとか、返事が無いとか、正直適当な人ばかりかと思っていたんです(笑)。
しかし入社してみると、研修では言葉づかいや服装など、当たり前のことをきちんと出来ることの大切さを教えて頂く事から始まりました。運転技術も、ただのスキル研修ではなく、国際自動車(kmタクシー)が掲げているホスピタリティを意識したもので本当に驚きました。
例えば、走っている事を感じさせない運転。走り出したことや止まったことが分からないような、お客さまに心地よく乗って頂けるような運転を心掛けています。

入社以前に中島さんが抱いていたイメージとは大きく違って、国際自動車(kmタクシー)の基準の高さが窺えるお話ですね。

そうですね。良い意味でイメージと違ったので、「大変だな」より「面白いな」という気持ちで仕事をしています。
自分で頑張った分だけ給料に反映されますし、「どの時間帯にどこを走るのか」とか「天候はこうだから」とか「今日はこういうイベントがあるから」などと、考えながら走るのがとても楽しいです。確率論ですよね。そして、その予測通りにお客さまをお乗せ出来た時はとても嬉しいです。

確率論、といいますと?

確率論、とかっこいい言い方をしてみましたが(笑)、具体的には、お客さまによって目的地が遠かったり近かったりして、それによって運賃が変わってきますよね。それも、数をこなせば平均値はおのずと安定するのかなと感じているんです。
あとは、人が多いところはお客さまが乗りやすいとか、そういう事も「試行回数が多い方が・・・」というように、数学のように考えることが出来るんです。

なるほど。学生時代に学ばれた数学が、タクシードライバーをやられる上で活かされているんですね!

学生時代に悩んだ「数学をやる意味」って、きっとこういう事なんだなと思うことが出来ました。数学に限らず、「これがいつどこで役に立つの?」と聞かれれば正確に答えられるものではありませんが、きっとどこかでふとした時に「あ、学んだことが活かされている!」と感じるものなんだと思います。
まずは目の前の事を、愚直に一生懸命取り組んでいく、というスタンスで頑張っていきたいですね。

目の前の事を愚直に一生懸命に取り組む姿勢、素敵です!そんな中島さんの、現在の目標を教えて下さい。

今の目標は、班長になることです。「班長になって班長業務がしたい」というよりかは、「キャリアアップしたい」とか「スキルアップしたい」といった気持ちの方が強いですね。仕事をする以上、一生懸命頑張って成長していきたいという想いがあるんです。

あとは、現在人財研修課での仕事も非常に楽しくやらせて頂いているので、コーチとしてまた戻ってきたいと思っております。一度現場に戻りたいと思う理由は、この出向期間でまだまだ勉強不足だなと感じたからです。同じ道を走ったとしても、コーチのその道を経験した数の違いだったり、お乗せしたお客さまの数の違いだったりで、研修生に対する話の引き出しの量って違ってくるんですよね。「ここはこういったお客さまがいて、こういうところに向かうことが多いよ」とか、「こういう所に、実はこんなお客さまがいらっしゃるよ」とか。
1年前まで研修をしていただいていた立場から考えて、研修生はそういう具体的な話も聞きたいと思うんです。そういった、具体的で現実的な質問にも答えられるように、現場でドライバーとしての経験を積み、もっと勉強して引き出しを増やしていきたいです。
そうやって、直近の目標に向かって一つひとつ達成していきたいと思います!

中島さん、ありがとうございました!