大瀧さんは「地域限定特例通訳案内士」の資格をお持ちなんですね!地域限定特例通訳案内士とは何ですか?
海外からのお客さまに、外国語を用い有料で観光案内ができるタクシードライバーです。外国語といっても多いのは英語ですね。資格を取るために、英語で日本を観光案内するためのスキルや知識を学びます。つまり、英語の力だけではなく、日本の観光地や文化の幅広い知識を身に着けていると東京都から認められたタクシードライバーが「地域限定特例通訳案内士」です。東京オリンピックに向けて、これから地域限定特例通訳案内士の資格を持つ人ももっと増えると思います。
東京オリンピックのときも活躍できそうですね!大瀧さんはどうして地域限定特例通訳案内士になろうと思ったのでしょうか?
海外から来た方へ観光のご案内をしたいと思ったからです。私はアメリカの大学を卒業しているので、海外の友人が多くいます。ある時、日本に遊びに来た友人に観光案内をしたら、とても喜んでくれました。それが嬉しくて「英語で、海外のお客さまをご案内したい」と思うようになりました。
具体的に転職を検討するようになったのは、自身で営んでいたアパレル会社の経営が傾き始めたときです。ですが、40代で母親だった私にとって、転職活動は簡単なことではありませんでした。面接さえ受けられなかった会社が多かったです。そこで見つけたのが、タクシードライバーでした。大手のタクシー会社は観光にも力を入れているとのこと。「タクシードライバーで海外のお客さまの観光案内ができる」と思い、タクシードライバーに応募しました。
運転しながら観光案内もするお仕事、とってもかっこいいですね!数あるタクシー会社の中から、国際自動車(kmタクシー)を選ばれたのはなぜですか?
国際自動車(kmタクシー)で働こうと思った決め手はロッカールームのきれいさです!
ロッカーですか!?
そうです。入社前に「ロッカーを見せてください!」と人事の方にお願いしました。というのも、タクシー会社は男社会というイメージがあったからです。「女性用の設備はなく、もしかしたら取って付けたようなスペースしかないのではないか」「ゴミや清掃の管理なども行き届いてないのではないか」という不安があったんです。
ですが、実際に見学させていただくと、女性用ロッカーはとてもきれいに整頓されていました。ロッカーを案内してくださった営業所の課長が「これから、100人の女性タクシードライバーをお迎えしたいから、大きな女性用ロッカールームを作ったんです!」と笑顔で話してくださり、「女性が働きやすい環境を整えることに力を入れている企業なんだな」と感じることが出来ました。清掃員さんがいらっしゃって、休憩スペースもいつもきちんと片付けてくださっています。
女性ドライバーも快適に過ごせて、お仕事に集中できる環境が整えられていることにとても魅力を感じ、国際自動車(kmタクシー)への入社を決めました。
取材時、丁度清掃員の方がお掃除をしてくださっていました。
お仕事に集中できるのはいいですね!
海外のお客さまをご案内するときは、ただ決められたコースをご案内するのではなく、お客さまのニーズに合わせて、プランを作ったりスケジュールを管理したりと、臨機応変に対応する力が必要になるので、神経を使います(笑)
例えば、香港から日本にいらしたご夫婦をご案内した時の話です。私はいつも観光の目的と、絶対に行きたい場所をお伺いした上でプランを考えるのですが、お二人の観光の目的は、「日本文化を感じること」で、特に「温泉に入りたい」とのことでした。お二人で温泉を楽しんでいただけるように、予算と時間の範囲内で利用できる貸切温泉を探すことにしました。なかなか予約が取れる温泉が見つからず苦労しましたが、ご案内の合間に探し続けた結果、お客さまをご案内していた場所のすぐ近くで「今なら空いていますよ」という貸し切り温泉を見つけることが出来ました。喜んでいただけて嬉しかったですね。
スケジュールに遅れがでれば、再度予約を取り直すことが必要になることもあります。お客さまに満足してもらおうと思うと、常にいろいろなことに気をかけていなければなりません。もちろん、安全運転にも集中しないといけませんしね。
考えただけでとても緊張しました(笑)他に、海外のお客さまをご案内する時ならではの難しさはありますか?
日本の文化の説明は難しいですよ。日本語でも説明するのが難しいこともありますからね。例えば、神社とお寺の違いとか。ご存知ですか?
分かりません!それを英語で説明するのは想像するだけでも難しそうです。
そうなんですよ。海外のお客さまは宗教についてよく尋ねられます。文化の違いですね。先ほど挙げた例のように「日本は仏教と神道が混在している国である」とか、日本の文化を理解することがまず大切なんです。もちろん、お客さまの国の文化を理解することも大切です。
宗教や歴史、文化や食べ物など、お客さまの興味も様々です。自分が積み上げてきた経験や知識の中から、お客さまが一番満足していただけるプランを考えて提供しております。
すごい!キャリアがあるからこそできる対応ですね!他にも観光案内のお仕事で意識していることはありますか?
「お客さまにとっての『無駄』をなくす」ということを意識しています。
例えばお客さまが無駄に歩かなくてすむように先に車を回したり、時間の無駄をなくすために必要な手続きはできる限り私が済ませたり。観光中に必要になった予約も素早く行うようにしています。もたもたしている間にも料金は加算されてしまいますからね。料金の無駄もなくして、快適で充実した観光をしていただけるよう心がけています。
ただでさえ大変なお仕事なのにそんなところまで!絶対お客さまに喜ばれますよね!
一番嬉しかったのは、先ほどの香港からいらしたご夫婦に「あなたに案内してもらえて私たちは本当にラッキーだった。友人が日本に遊びに来る時は、ぜひあなたを紹介したい」と言っていただけた時ですね。とても嬉しかったです。海外のお客さまの観光案内は大変ですが、その分やりがいもあります。
英語で観光案内もできるタクシードライバーはかっこよくて素敵なお仕事ですね!観光のお仕事はどれくらいの頻度なんですか?
実はご案内したのはまだ3件ほどです。これまでは午後から乗務が始まるシフトだったので、観光を希望されるお客さまと時間がなかなか合わなかったんですよ。
2か月前からシフトを変えていただいたので、これから沢山ご案内できればと思っています。
これからますますご活躍されるんですね!楽しみです!今後の目標はありますか?
やっぱりもっと観光のお仕事を増やしたいですね!そのためにも、必要だと思った知識などは自分で講習会を見つけて勉強しに行っています。今は月に1回仏教英語の講習を受けています。
ですが、観光案内のお仕事を増やすためには他のタクシードライバーさんの協力が欠かせません。実際私の観光案内のお仕事の時間に合わせて、他のタクシードライバーさんが自分のシフトを変更してくださったり、車を譲ってくださったりしたこともありました。これがなければ成立しなかったお仕事でした。本当に感謝しています。
国際自動車(kmタクシー)のドライバーさんには、仲間想いの方がたくさんいます。出庫のときも「いってらっしゃい!」と声をかけてくださりますし、社内の雰囲気もとても良いです。私も、とくに新人の方には意識して「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と声をかけるようにしています。
これから更に観光のお仕事を増やしていき、国際自動車(kmタクシー)に貢献することで感謝の気持ちを伝えていきたいと思います!
大瀧さんがいつも乗られているタクシーを使って研修中の後輩の新卒社員さんと。
周りの方に支えられて初めてできるお仕事なんですね。
大瀧さん本日はありがとうございました!
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