運転大好き若手タクシードライバーに聞いた荷重をコントロールして快適な乗り心地にする方法

PROFILE.
永田(ながた)さん。タクシードライバー日勤。国際自動車(kmタクシー)株式会社世田谷営業所所属。2017年4月新卒入社。趣味は車と絵を描くこと。(取材日:2018年1月30日)

今回インタビューするのはタクシードライバーとしてデビューして約7ヶ月の永田さんです!早速ですが、永田さんが新卒でタクシードライバーを選んだ理由はなんですか?

車が好きだったからです。大学時代は車好きの友人たちと一緒にドライブによく行きました。トヨタのスターレット グランツァVという車も買って、とにかく運転を楽しんでいたんです。

だから就職活動では車関係を?

そうです。駐車場事業やレンタカー事業、カーシェアリング事業を行う企業や、中古車販売の仕事などを中心に探していましたね。国際自動車(kmタクシー)は会社説明会で話を聞いて知りました。選考方法が他社と全く異なっているので興味を持ったんです。

全く違うというと?

ES(エントリーシート)を出したり、面接を行ったりする中で企業が就活生を見定めていくのが一般的な選考だとするならば、国際自動車(kmタクシー)ではキャリア面談(就活生の進路を先輩社員がともに考える面談)や、数年後の未来をグループディスカッションをしながら想像するといったワークを通して企業と就活生がマッチングしているかを考えていくんです。

企業が就活生を一方的に判断するというより、あくまでお互いのマッチング重視なんですね。

特に印象に残っているユニークな選考は劇です。国際自動車(kmタクシー)に入社後10年先の未来を想像し、5〜6人で劇形式で発表するんです。

永田さんはどんな未来を発表したんですか?

「20代でお金をたくさん稼いで、日産のフェアレディZの初期型を買う」と(笑)

やっぱり車好きなんですね(笑)

維持費も含め決して安くはない車ですけど、国際自動車(kmタクシー)では努力次第で収入も上がると聞いたので数年のうちに手に入れられるんじゃないかと思いました。そのプレゼンの様子を今私が所属している世田谷営業所の方がご覧になっていたようで、配属後に「あ、あのフェアレディZの子ね!」と言われました(笑)実際に世田谷営業所ではフェアレディZに乗っている班長がいるので、頑張れば本当に買えるんじゃないかって楽しみにしているんです。

具体的な目標があると張りがありますね!実際にタクシードライバーとしてデビューしていかがですか?

やはり営業は簡単ではないですね。東京は走り慣れていたつもりでしたが、こんなに知らない道やエリアがあるのかと驚きました!

地理はタクシードライバーにとって最初の関門なんですね。

通りの名前を覚えるだけでも一苦労です。例えば「国一」や「一国」、「二国」と呼ばれる通りをご存知ですか?

国道1号のことでしょうか?

と思いますよね!実はそれらは全て国道15号のことを指すんです。

え!数字が全く違うじゃないですか!

国道15号の通り名は「第一京浜」、国道1号は「第二京浜」というので更にややこしくなるんですよ。
先日は年配のお客さまから「環六」と指示されました。環七や環八なら知っていますけど、環六?と思っていると、お客さまが「山手通りのことだよ」と教えてくださったんです。

へえ〜!意外と知らない通りって多いんですね。

そんな具合ですから、初乗務はすごく緊張していたのを覚えています。信号で止まる度に全身が緊張していたことに気づくんですよ。班長が助手席からフォローしてくださったので問題無く乗務できましたが、あのドキドキは忘れられないですね。

乗務を始めて約7ヶ月が経った今はだいぶ慣れましたか?

エリアも覚えてきたので落ち着いて乗務することができています。やっと自分の運転スキルを活かしてお客さまの役に立つことができるようになりました。

運転スキルですか。

私が特に意識しているのは荷重ですね。「加速」と「ブレーキ」と「曲がる時」に工夫をすることで荷重をコントロールするようにしています。

荷重?どういうことですか?

荷重とは4つあるタイヤにそれぞれかかっている重さ、負荷の度合いのことです。自動車は、アクセルを踏むと荷重が後ろに移動し、ブレーキを踏むと荷重は前に移動します。この荷重移動をうまくコントロールできれば後部座席のお客さまに快適な乗り心地を提供できるんですよ。

例えば、停車した時に身体がかっくんと後ろに戻ることがありますよね。ブレーキを離したときや踏んだときに生じる上半身や頭の揺れは車酔いに繋がります。

分かります!あれ気持ち悪いんですよね〜。

これを防ぐためには一定の量でブレーキ・ペダルを踏み続け、停止する直前に僅かに踏んでる力を弱めるようにすれば良いんです。すると前にあった荷重が少し後ろ側に戻って、慣性が弱まるのでスッと停車できるんです。

なるほど!理屈は分かりましたが、実践は難しそうです(笑)

停車に関して言えば、車間をきちんととることも大事です。前の車がブレーキを踏んでも車間があればアクセルオフだけの減速で充分間に合いますから後部座席のお客さまに不快感を与えません。

なるほど!曲がる時にはどんな工夫ができるのでしょう?

曲がるときも荷重移動を気にして横向きのG(加速感)をかけないようにするのが基本です。前に荷重があるとスムーズに曲がれ、後ろに荷重があるとうまく曲がれません。前に荷重をかけるにはカーブに入る直前にブレーキ・ペダルを優しく踏みます。その状態でハンドルを徐々にきって正確なラインを描きながらハンドルを少しずつ戻していけば負荷なく曲がることができます。何度も走っている道であれば負荷のかからないラインも把握できるので、意識しながら走っています。

これらを接客しながらや、お客さまを探しながら常時行っているんですよね!凄いです!お客さまに褒められたりしませんか?

たまに掛けられる「運転上手いね!」の一言はとても嬉しいです。ですが、まだまだ勉強が必要です。渋谷、目黒、新宿エリアは覚えてきたので、今後は品川区、千代田区、中央区をもっと詳しく覚えたいです。

どうしてそのエリアなんですか?

品川や浜松町エリアは新幹線が近いので、新幹線を逃してしまったお客さまが長距離でタクシーを利用されることが多いんです。千代田区、中央区は単価が高いからですね。東京駅付近も覚えたいのですが、日本橋エリアなどは「地名やビル名を把握していないと営業が難しい」と先輩からアドバイスをいただいたので道のりは長そうです。

焦らず地道にコツコツとですね。

以前新幹線に乗るために品川駅まで行く予定のお客さまを目黒通りでお乗せしたことがありました。充分間に合う時間だったのですが、何と事故のせいで目黒通りに車線規制がかかってしまったんです。

それは大ピンチですね!

このままでは絶対に遅れてしまうので、一か八かで目黒の裏道に入っていきました。すると、予想通り空いていたので余裕を持って到着することができたんです。

すごい!

お客さまも大喜びで、「君、絶対仕事できるでしょ!」と褒めていただきました。その裏道は以前「この道路に入っていったらどこに出るんだろう?」と自分で研究していた道だったので実際に役立てることができて良かったです。お客さまに感謝していただけるとタクシードライバーという仕事を選んで良かったと心から思いますし、道を覚えるモチベーションも湧きます。

素敵なお話ですね。では最後に永田さんの今後の目標を教えていただけますか?

道を覚えてもっと良い接客を提供できるタクシードライバーになることです。「kmのタクシーしか乗らない」とおっしゃるお客さまの期待を裏切らないように、自分にできることを考えて実践していきたいと思っています。そして、タクシードライバーになることに最初はあまり良い顔をしていなかった家族や大切な人たちを乗せて安心してもらいたいですね。

応援しています!永田さん本日は本当にありがとうございました!