英語力を生かして働きたい…そんな人におすすめしたい「観光タクシー」の仕事。
前回の取材は1〜2年前だったかと思います。当時は、森さんの入社のキッカケから英語力を生かした仕事のやりがいについてお伺いしました。
前回は元々英語講師として働いていたことや、家族の介護をキッカケに転職を決意したこと…。国際自動車(kmタクシー)で働き始めるまでのお話が中心だったと思います。転職してドライバーとして働き始めた時から「フツーのタクシードライバーにはならない」と心に決めていて。せっかくドライバーとして働くなら他の人にはできない仕事がしたいと思い、英語を使ったおもてなしを自分ならではの強みにしていたんです。そして、数年経ち時代は「TOKYO2020」。招致が決まった頃から、業界に「観光タクシー」の風が吹き始め、英語を話せるタクシードライバーの需要が高まりました。
新しい時代の到来を見据えていたんですね!しかし、「TOKYO2020」といえば延期・無観客で開催されました。これは、逆風だったのでは。
おっしゃる通りです。予想外の「コロナ禍」に悩まされ「観光タクシー」は思った通りに展開することができませんでした。しかし、「これから」じゃないでしょうか。決して観光タクシーはオリンピックのためだけに用意された物ではありません。今後、世界が元の姿を取り戻した時には観光業も勢いを取り戻すでしょう。その際は、この数年間で蓄積したノウハウを生かして多くの皆さまにタクシーでの観光を楽しんでいただきたいです。
今後の展望に期待大ですね!
はい!多くのドライバーたちに、観光タクシードライバーとして働くための挑戦をおすすめしたいです。まずは「東京シティガイド検定」への合格。そして「ユニバーサルドライバー研修」と「東京観光タクシードライバー認定研修」の修了を目指しましょう!
「タクシードライバーはおいしいお店を知っている説」を裏切らない!
「観光タクシー」のお仕事…。お客さまをお乗せして観光地を回る、というイメージは付くのですが実際はどんなお仕事なのでしょう?
実際にご乗車された方が分かると思います。いざ、東京観光へ出発しましょう!
こうして、東京の観光地を約3時間で回るツアーが15,000円。飛行機待ちまでの空き時間など、ちょっとした時間を有効活用したい方にはおすすめですね!
はい!多くのお客さまが、そのようにホテルから空港までの「ついで」で観光をご希望されます。今後も様々なシーンでの利用が生まれると面白いですね。
さて、前代未聞の「東京観光しながらインタビュー」で進んでいます。せっかくなので、どこかおすすめのお店でお食事を取りながら取材したいのですが…!
はい!いいお店がありますよ。浅草にある、やぶ蕎麦の老舗です。ここのお蕎麦は、外国人の方にもおすすめしますね。
おっ、やっぱり「タクシードライバーはおいしいお店を知っている説」は正しいんですね…!
ははは、やっぱりそういうイメージありますよね。ですが、東京のタクシードライバーはあんまりお店について詳しくないと思いますよ。東京の飲食店で駐車場がある所は限られますから、自然とお弁当やコンビニごはんで済ませがちです。地方のタクシードライバーの方は、おいしいお店をたくさん知っていると思いますが…。
なんと、東京のドライバーさん事情があったとは。
ですが、私はこの藪蕎麦の老舗を知っています。それは観光タクシードライバーとして働いているから「ならでは」かもしれません。観光タクシーのドライバーをしているとお客さまを観光地にお連れして、場所によっては観光ガイドとして同行します。自然と観光地での食事の機会が増え、時にはお客さまとお食事をご一緒させていただくことも。こうして「タクシードライバーはおいしいお店を知っている説」を裏切らないドライバーへ…(笑)。
観光ガイドの機会が増えておいしいお店を知る。そのおいしいお店の知識を次のお客さまのおもてなしに繋げる。どんどん繋がるのは面白いですね!
「観光タクシードライバーの働き方とやりがい・ホスピタリティ」
素朴な疑問なのですが、タクシードライバーとして働く日と観光タクシードライバーとして働く日は別々なのでしょうか?
様々なパターンがありますね。いわゆる通常のタクシードライバーとしての乗務中に、突如「今から観光のお仕事対応できますか?」と連絡が入ることもあります。
なるほど、急に観光案内をスタート!…というのはハードルが高いように思えますが…。
確かに、多くのお客さまは事前に予約をくださるのでツアーのコースを考える時間の余裕があるんです。急に連絡が入った場合は、お客さまとお会いしてからコースを決めるのでその場で対応できる力が必要ですね。
なんと!観光ツアーのコースは決まっている物ではなく、森さんが決めているんですか!
もちろんkmタクシーのサイトに掲載されているモデルコースを元に案内することも可能ですが、基本的にはお客さまの行きたい場所をお伺いして、その場所を取り入れたコースを作ります。お迎えした場所とゴール地点。そして、途中で立ち寄りたい場所。これらを時間通りに回れるコースを即興で作り上げるのでなかなか難しいですが、その分やりがいも大きいですね。
観光タクシーは、決まっているコースを回るツアーではないんですね!
基本はお客さまのご希望に合わせたツアーなのです。だからこそ、「自由に東京を回りたいけど時間は限られている」人や、「行きたい場所の観光が入っているツアーがない」という人に向いていますよ!
なるほど。さて、最後に観光タクシーのドライバーとして一番こだわっているポイントについて教えてください。
特に外国人のお客さまに対して…なのですが、敢えて観光地がどういう歴史を持つ場所なのか説明をしないことを心掛けています。
説明をしない…?観光地に来ているのに、その場所がどんな場所なのかを説明しないんですか?
最終的にはご説明するのですが…まずは「これが日本の有名な観光地か!」という感動を味わっていただくのが優先だと思っているんです。ご自身が海外に旅行する時のことを考えてみるといいかもしれません。海外の有名な観光地に行って、いちばん最初に味わいたいのは海外特有の空気感、異文化に触れる楽しみ。日本では体験できない、海外ならではの思い出だ!ということが大切ですよね。
なるほど、確かに…。
日本の歴史ある寺社仏閣に行ったとして、まず最初に感動するのは「誰が作ったか」「誰が祀られているか」ではないんです。「これが日本の建築か!」「私の国の物とは全然違う!」「これこそ日本文化だな!」その感動の後で、補足的に「実はこんな歴史があって…」と添える程度。持ち帰っていただく思い出は、日本ならではの物を見たぞ、という感動がベースだと思っているんです。
正に観光タクシードライバーの鑑…!今日は取材だけじゃなく、観光案内まで連れて行っていただきありがとうございました。今後も観光タクシーの発展に期待しています!