選んだ未知のタクシー業界は、自分なりの働き方を見付けられる場所!新卒入社で活躍中の女性タクシードライバーが語る。

フリーターを選ぶ人が多い中、自分は未知の業界へ。

新卒入社の寺師さん、学生時代はどのような勉強をしていたんですか?

福岡から上京して、美術系の大学へ進学しました。油絵・版画専攻でした。

美術系の学校だったんですね!周りの人達や同期の学生は、どのような進路に進む方が多いのでしょうか?

実は、美術系の学校ならではの進路で「フリーター」を選択する人が多かったんです。ファインアートを仕事にするためには、作品作りの時間を優先的に取る必要があります。最低限の稼ぎを得ながら、制作に時間を割くアルバイト生活が合っているんですよね。

なるほど、それは確かに美術系の学校ならではの進路かも。寺師さんご自身は、フリーターという選択をしなかったんですね。

アーティストとして生きる選択肢はありませんでしたね。就職については現実的な思考で、教職の免許を取るなど準備を勧めていました。ただ、教育の現場で働くイメージもなく、先生として生きる選択肢はありませんでした。「大学で勉強しました」という証明のために資格を取ったような感じですね。

周りの人達がフリーターを選択する中で始めた就職活動、「就職、どうしような~」と軽い気持ちで進めていたのですが、ある時母が「説明会に行きなさい!」と(笑)。

母からの一声(笑)。それが、キッカケだったと。

実は母とともに上京して、二人暮らしで生活しているんです。近い所で「行きなさい!」と言われてハッとして(笑)。それで、さまざまな企業が集まる合同説明会へ参加することにしたんです。業界は絞らず、さまざまな企業をみている中で、いちばん明るく声を掛けてくださったのが国際自動車(kmタクシー)のメンバー。タクシー業界のことはまったく知らなかったのですが、その時既に会社の雰囲気に惹かれていましたが(笑)

一週間のお休みも取れちゃう?!キーワードは「いい意味で代わりがいる」。

企業説明会の時点で感じ取れたkmタクシーの空気感。それに惹かれて、選考へと進んだのですね。

偶然出会ったタクシー業界ですが、結果的に自分に合った仕事を見付けられたと思っています。学生時代、飲食店や学童、コンビニなど様々なバイトをしていたんですが、その中でいちばん楽しかったのは接客。観光名所の付近で働いていたので、お客さまは常連さんというより観光客の方が多く一期一会の出会いでした。毎日同じ人達との関係の中で仕事をしていると、時に人間関係の問題でぎくしゃくしてしまうこともあると思うんです。この、知らない人との出会い、目まぐるしく変わる環境が私には合っていて。そのバイトは楽しみながら続けられたし、やりがいもあったんです。今思えば、この時「たのしい」「やりがい」と感じていた要素はタクシードライバーの仕事にも共通することで。毎日違う人との出会いで、行き先も違って。日々新しいことが起こり続ける環境で働けることが、モチベーションになっています。

入社から2年、タクシードライバーとしての経験を積んで率直な感想はいかがでしょうか?

運転スキルや地理的な知識を少しずつ蓄えて成長できたと思うのですが、正直まだまだ足りないと思いますね。これからもどんどん勉強し続けたいと思います。営業所のメンバーや班長の方々が優しく教えてくださるので、モチベーションを持って日々頑張れます!

運転に接客…頭と身体を使う仕事だと思いますが、休めていますか?ワークライフバランスについて教えてください!

説明会ではタクシードライバーの特殊な働き方について聞く機会がありました。「隔日勤務」は、簡単に言えば二日分働いて二日分休む・・・というようなサイクルでの勤務。この勤務形態の中でスケジュールを調整すれば1週間超えの休みを作ることも可能だと聞いたんです。正直、入社前だから大袈裟に言っている部分もあるんだろうな…と思っていたのですが、これがホントで。お陰で地元の福岡への帰省も長期間帰ることができています。そもそも、運転できる時間が法律で制限されているため、残業ができません。休みを取ることが絶対的なルールの中に組み込まれているんです。また、いい意味で「代わりがいる仕事」というのも強みかと。誰かが休んでいる時、他の誰かが車を動かせば代わりができる仕事。そのお陰で、休みの日に仕事の連絡が来ることもありません。休みの日は、完全に休みなんです!今って、個人のスマホにガンガン仕事関連の連絡が来る時代じゃないですか…。だから「休み=ホントに休み」っていう仕事って、結構珍しいと思うんです。

確かに。いい意味で「代わりがいる」。これは、タクシー業界ならではのメリットかもしれませんね。

加えてですね・・・隔日勤務だと「出社」のタイミングが減らせるんですよ…。

…?…どういうことですか…?

いや、ぶっちゃけて言うと「さあ、仕事行くか…!」って瞬間って、めちゃくちゃエネルギー使いませんか…?仕事が始まれば、「頑張るぞ!」というテンションに持って行けるんですが、休み→仕事の瞬間ってなかなか気持ちの整理が付かない人が多いと思うんです。私がそのタイプで。仕事は楽しくて大好きなんだけど、なかなか出社の時のメンタルが整わない…じゃあ、出社のタイミングを減らせばいいんですよ(笑)。隔日勤務なら、1回出社すれば2日分働くわけですから、1回分の「出社」が減りますよね(笑)。

考えたこともなかったです(笑)。でも、これは画期的かも。「隔日勤務」という働き方でご自身の苦手意識を克服している事例…。そんな捉え方もできるんですねえ。

急ぐ=スピードじゃない。態度で示すホスピタリティ。

今後の目標について、教えてください!

直近の目標で言えば、英語のスキルは身に付けたいと思います。コロナ禍を抜けてインバウンドが増えた今改めて英会話コミュニケーションのスキルは必要だと実感しました。「なんとなく」の英語とボディランゲージで接客することも不可能ではないんですが…。やっぱり拾える情報の量が違うんですよね。急いでいるとか、寄り道したいとか、様々なニーズがあります。目的地だけ分かればいいということでもないんです。タクシードライバーの仕事は奥が深いですね。

2年の経験を経て、一つ上のタクシードライバーへ。目標に向けて、鍛錬ですね!
さて、そんな寺師さんですが、いつもお仕事の中で持ち歩いているこだわりの一品などありますか?

毎日持っているのは野菜ジュース!12:50~13:00の間に飲むというのがマイルール。仕事がいい流れに乗っていると、休憩を取らずに働き続けてしまうんです。安全に運転するためにも休憩は必ず取る必要があります。そこで、この時間は強制的に野菜ジュースを。ここで一息ついておくと、自然と休憩しなきゃって思えるので(笑)!タクシードライバーの仕事は乗務が始まれば一人。すべて自分の責任で進んでいきます。だからこそ、体調管理・自己管理も仕事の一つですね!

自己管理、大切ですね!身の回りの管理と言えば、安全についての配慮も大事ですよね。

実は、数ヶ月休んでいた時期があったんです。その期間に安全管理については深く考えるようになりました。基本はスピードと車間距離。その二つで、事故の多くは減らせると思います。後は、周りの空気に流されないこと。お客さまに「急いで」とご要望を受けて、そのまま急いでしまうと事故に繋がる可能性が高まります。「急ぐ」というのは態度で示すことで、スピードを上げることではないと思うんです。ルールを守って、正確に道を行けば最短距離・最短時間で着くことが可能です。それを最優先、無理な運転はしない。ただ、のんびり見えるような運転ではお客さまが焦る気持ちも分かります。「急いでいる」空気感は表情や態度で作るんです。このバランス感覚が大切だと思います!

なるほど、これは目からウロコかも。物理的にスピードを上げて急ぐことが最適解ではないんですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!