【東京オリンピックで活躍!】元英会話講師が語る、タクシードライバーになるための㊙︎勉強法

PROFILE.
森(もり)さん。TSTiE(タスティー)認定タクシードライバー。国際自動車(㎞タクシー)株式会社東雲営業所所属。2014年キャリア(中途)入社。前職は英会話講師をしていた。趣味はフットサルと野球。東雲営業所の英語同好会の会長を務める。(取材日:2016年3月3日)

今回インタビューしたのは英語が話せるタクシードライバー、森さんです。森さんは元英会話講師という経歴をいかし、営業所内で英会話勉強会を行うなど精力的に活躍されています。「英語に自信はないけど、2020年の東京オリンピックで海外からのお客さまをおもてなししたい」と考えている方のために、英会話勉強のコツや接客術を伺ってまいりました。

英会話を学びたい人は何から始めればいいの?

森さんは、一回の乗務で何組ほど海外からのお客さまをお送りするのでしょうか?

その日によって違いますが、約2〜4組ほどですね。

海外からのお客さまをお送りする際に森さんが気をつけていることはありますか?

「いきなり英語を使わない」ということです。

え!せっかく話せるのに使わないのですか?

もしかするとお客さまは、日本語を学びたいと思っているかもしれません。また、海外で言葉が通じない体験をアトラクションのように楽しみたい方もいらっしゃいます。そういった可能性が考えられるので、まずは日本語で挨拶するようにしております。もちろん、英語でコミュニケーションをとりたい様子でしたら英語に切り替えます。

森さんのような「英語を使って活躍するタクシードライバー」に憧れるけど英語が喋れない、という人はまず何から始めたらよいのでしょうか?

口の筋トレです。

筋トレですか!?

例えば「ありがとう」は英語で何と言いますか?

Thank youです。

今頭で、文法を組み立ててから話しましたか?そうではなく、口からパッと出てきましたよね。では、「お客さま、恐れ入ります。端末にエラーが起きたようです」はどうでしょう?

「端末」?「エラー」??

正解は「Oh. Sir, I’m afraid something is wrong with this card reader.」 です。なぜThank youはパッと言えたのに、難しくなると言えなくなってしまったのでしょうか。この答えが英会話を学ぶ重要なヒントになるのです。

これだけは覚えたい!タクシードライバー必須の英会話フレーズ

どうして表現が複雑になると英語が口から出てこないのでしょうか?

理由は二つあります。一つ目はフレーズを知らないため。二つ目は身体、特に口が英語についていっていないからです。この二つを解決するために私が考えたのがこちらです。

これは何でしょうか?

タクシードライバーが覚えるべき必須フレーズ集です。現役のタクシードライバーである私が作成したので、かなり実践的で役立つ表現ばかりが厳選されております。
例えば先ほどの「・・・Oh. Sir, I’m afraid something is wrong with this card reader.」 では、I’m afraid〜(恐れ入りますが〜、残念ですが〜)とsomething is wrong with〜(何かがおかしい)という2つの表現と、card reader(カードを読み込む端末)という表現を一気に学ぶことができます。
特にsomething is wrong with〜は単語を入れ替えれば、「Something is wrong with my stomach.」つまり「お腹の調子が悪い」など日常生活でも使い回しがきく便利な表現です。

タクシードライバーとしての接客に加え、日常英会話も一緒に鍛えることができるフレーズ集なんですね!

私が開催している営業所内の勉強会ではまず1枚目にあるフレーズがつっかえずに出てくることを目指します。こんなに覚えられない・・・と不安になる方もいるかもしれませんが、英語は慣れです。10回口に出して覚えられなかったら、100回言えばいいだけです。口の筋トレをやっているのだと思って試してみてください。車内での接客に必要な英語は限定されていますので、一度覚えてしまえば留学せずとも日本にいながら英語で接客ができるようになりますよ。

確かに、分厚い教科書で文法を勉強するのではなく、これだけ覚えようと思えばできる気がしてきます。

多くの方が勘違いしているのですが、「英語を話せる」というのは「この世のありとあらゆることを英語で伝えることができる」ことではないんです。

どういうことですか?

例えば私は、タクシードライバーとしての英語に困ることはありませんが、銀行マンが話す投資については話せません。日本語でも分からないのだから当然と言えば当然です。ですが、これと同じ勘違いを多くの方がしているんです。
「日常会話を全て話せないとタクシードライバーとして接客はできない」。これは大きな誤解です。タクシードライバーとして必須なフレーズを口からスラスラ言えるようになれば困ることはありません。

このプリント3枚を確実に覚えればいいんですね!

そう思うとグッとハードルが低くなったような気がしませんか?別に間違ってもいいんですよ。英語を母国語として話す人よりも第二言語として話す人の方が多いんです。

間違うことが怖いという人は多いですよね。綺麗な発音でないと伝わらないのでは?と不安に思う人もいると思うのですが、そちらはいかがでしょう?

日本人の英語は抑揚や強弱がないので、伝わりづらいんです。だからそこだけクリアすれば日本語英語でも意外と伝わるんですよ。

伝わる英語を身につける秘訣とは?

抑揚や強弱はどうやって身につければいいのでしょうか?

自分が好きな英語の発音を見つけて、真似をすることです。私の場合は映画を通して滑らかな英語を身につけました。

映画ですか?

好きな映画の俳優さんのセリフを真似するんです。『ダイ・ハード』ではブルース・ウィリス、『リーサル・ウェポン」ではメル・ギブソンの声をお手本にして、彼らになりきって練習しておりました。英語特有のうねりやリズムが自然と身につくのでオススメの勉強方法ですよ。

そうして練習で身につけたリズムはタクシードライバーの英会話でも応用がきくんですね。

その通りです。ここで重要なのは、特定のシーンを思い浮かべながら話すということです。

特定のシーンですか?

具体的な場面を思い浮かべて、感情を乗せて練習するのが一番覚えられるんです。「目の前にお客さまがいらっしゃる様子を思い浮かべて」と言うと、頭だけではなく身体で覚えられるので忘れにくいです。ですから先ほどのタクシードライバー必須フレーズ集はサラリーマンの方が覚えるより、現役のタクシードライバーの方が覚えやすいはずです。

なるほど!今までいくつか出てきたポイントを整理すると・・・

1、まずは車内の接客に必須な英会話フレーズのみをピンポイントで学習する。
2、覚える時は、特定のシーンを思い浮かべてとにかく何度も口に出す。
3、お手本にしたい英語を真似てリズムや抑揚を身につけ「伝わる英語」にブラッシュアップする
ですね。とにかく練習あるのみです。

一人だとくじけてしまいそうですが、森さんが開催している勉強会に出たり、東雲営業所の英語同好会の仲間と一緒に楽しみながら勉強すると継続できそうですね。

英語は一朝一夕に身につくものではないので気楽に取り組むのが良いと思います。まだまだ英語が話せるタクシードライバーは少ないので、これを機に勉強すると強力な武器になると思います。何歳であっても遅いということはありません。自分の英語が伝わった瞬間の喜びは忘れられないくらい強烈です。私もできるだけサポートしますので、英語を学べる仲間が増えるととっても嬉しいです。一緒に頑張りましょう!

森さん、本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございます!