工場勤務から37歳で転職。オリンピックに向けて観光情報も提供できるドライバーになりたい

PROFILE.
新井(あらい)さん。タクシードライバー。国際自動車(kmタクシー)株式会社板橋営業所所属。2016年4月中途(キャリア)入社。隔日勤務。趣味は卓球。(取材:2018年9月5日)

車の製造工場からタクシードライバーに

僕が国際自動車(kmタクシー)に入社したのは2016年の4月。入社からまだ2年半ですが、課長から「もう10年くらいいるよね?」と言われるくらい馴染んでいます。居心地の良い職場ですね。

以前は、車の製造関係の工場に10年ほど勤めていました。転職を考えたきっかけは、輸出減による生産調整のために出勤可能日数が激減したことです。深夜の運転代行のアルバイトを並行して始めたものの、こんな不安定な調子ではこの先やっていけない。という危機感から本格的に転職活動を始めました。タクシー業界を検討したのは運転が好きだったからです。運転代行の経験を活かしたいという思いもありました。

国際自動車(kmタクシー)の面接は他社とは全く違った

タクシー会社の面接は数社受けましたが、国際自動車(kmタクシー)の面接は他と違いました。良い意味で「緩い」んです。面接といえば「形式張って、こちらも相手も緊張」というイメージでしたが、実際はとても肩の力が抜ける雰囲気で、お会いした社長や課長は威圧感がなく、和やかな印象でした。僕を緊張させないように冗談を言ったり笑ったりといった気遣いもあり、「この人たちとなら楽しく働けるんじゃないか」と直感で思いました。

同日に面接を受けたもう一社も決して悪かった訳ではありません。しかし、国際自動車(kmタクシー)の雰囲気の良さが決め手になりました。

苦い経験から気づいたのは、タクシードライバーの本当の役割

デビュー日は班長に添乗してもらって営業を開始しました。3組のお客さまにご乗車いただいた後は、班長が営業所に戻ったので僕1人で営業再開。本当にドキドキしましたよ!地理はかなり勉強したはずなのに、緊張で右も左も分からないんです。どのように初日を終えたかあまり覚えていませんが、お客さまに道を教わりながら頑張っていたのだと思います。

そんな調子で1ヶ月が経った頃、苦い経験を味わいました。

お客さまを怒らせてしまったんです。僕の運転は割とのんびり。でも、ノロノロではないんです。ただ、お客さまがお急ぎだったので「遅えな!下手くそ!」と言われました。自分の運転を「下手くそ」と言われたのは後にも先にもその時だけです。

落ち込みつつ先輩に相談すると「まぁ、一度きりのご縁だから」と励ましてくださいました。「誰でも通る道だよ」という先輩たちの言葉を聞いて少し心が軽くなりました。誰でも通るなら仕方ないな、うん。・・・でも、もう二度と通りたくないぞ。

それからは、同じミスを繰り返さないため「後悔ではなく改善点を探す」ように心掛けました。落ち込んだり、自分って駄目だなあと思うのではなく、「じゃあ、あの時他に何が出来たのだろう?」と探すんです。「遅えな!下手くそ!」と言われた時にスピードを上げることはできなくても、例えば「抜け道を知っていれば」「適切な声かけができていれば」お客さまの気を静められたかもしれませんし、そもそも最初に新人だとお伝えしていれば結果も変わっていたかもしれません。

そう考えると、タクシードライバーの役割は「お客さまを目的地まで送り届けること」だけではなく、「お客さまに喜んでもらうこと」にあるんですよね。当たり前かもしれませんが、ちゃんと目的地に到着しても車内の雰囲気が悪ければ満足には繋がらない。逆に、途中に何かミスがあっても降車時にお客さまが笑顔になるほど挽回できていれば満足していただける。「タクシーは旅客運送業であると同時に接客業でもある」と思うのはそうした理由からです。

僕は必要に迫られての転職だったので、「とりあえずやるか」という感じで国際自動車(kmタクシー)の面接を受けました。でも、入社してみると思ったより楽しいんですよ。どうしたら喜んでいただけるかな?と日々考えて乗務しています。

タクシーを機械任せにできない仕事にしたい

2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、タクシードライバーの活躍の場が増えると予想されています。僕は英語が得意ではないですが、拙い英語で必死にコミュニケーションを取りながらお送りしたところ、降車時に「Perfect(パーフェクト)!」とおっしゃっていただいたことがあります。そんな嬉しい関わりが2020年に向けて増えていくと思ったらワクワクしますね。東京観光認定タクシードライバーの資格も受かったことですし、ガイドもできたらいいな。将来が楽しみです。

タクシードライバーは「自動運転の時代が来れば無くなる職業」なんて言われていますけど、完全な機械任せ時代はすぐには来ないと思いますし、機械に任せられない仕事にしていけば良いと思います。そのためにはやはり、お客さまに喜んでいただくことが一番!これからも目の前のお客さまを笑顔にするサービスを心がけていきたいと思います。