自衛隊で学んだ先回りする思考はタクシードライバーになってから役に立つ!?

PROFILE.
渡邊(わたなべ)さん。国際自動車(kmタクシー)株式会社板橋営業所所属。2018年4月キャリア(中途)入社。自衛隊に4年勤めたのちにタクシードライバーへ。(取材:2018年9月5日)

渡邊さんは国際自動車(kmタクシー)に入る前にどのようなお仕事をされていたんですか?

前職が陸上自衛官でした。3.11や新潟中越地震での自衛隊の皆さんの活躍を見て、すごく感動して、22歳の時に「自分も人の役に立ちたい」と思い入隊しました。仕事にやりがいを感じていたものの、自衛隊の仕事は訓練や実習などがあり、想像以上にきつかったんです。先輩の中には50代で20代並みの体力というツワモノもいましたが、自分はというと自衛隊の定年まで勤め上げることに無理を感じていました。色々考えた末、4年間勤めた26歳の頃に転職を選びました。

そこで合同説明会に行きました。始めはSP、銀行員、営業など色々な職種をみていましたが、いまいち自分に合う気がしませんでした。タクシー会社もいくつか見て回る中で、国際自動車(kmタクシー)と出会いました。どのタクシー会社もしっかりとした人が説明に来ていましたが、とりわけ国際自動車(kmタクシー)の人事の福島さんがとても明るく、柔らかな雰囲気で接してくれました。こんな人が働く会社なら良いかもしれないと思い、国際自動車(kmタクシー)に転職を決めました。

入社してみて新しい仕事にはすぐ馴染めましたか?

はい、入社するとまるで学校のようなカリキュラムが組まれた研修をしました。あまりにしっかりしているので「ついていけるかな?」と不安に思うこともありましたが、真面目にやればしっかり実力がつく実りのある研修でした。
自衛官時代も法律やテスト対策の勉強はしていたので勉強には慣れているつもりでしたが、タクシードライバーが覚えるべき地理の勉強量はかなり多くて苦労しましたね。地元が大宮で、東京の地理に疎い自分はひたすら暗記するしかありませんでした。「赤坂と青山はこんなに近いのか」と驚いたくらいです。問題を解いては覚える。を地道に繰り返して勉強しました。
地理だけではなく、タクシードライバーに必須のホスピタリティ研修も行われました。実際にお客さまとどう接するかをロールプレイングなどを通して実践的に学ぶことができました。

研修では同期入社したドライバーたちとも仲良くなりました。タクシードライバーにとって横のつながりは非常に大事です。板橋営業所に配属された今では、同期や先輩を含め18名のドライバーたちとSNS上で、お客さまがいるエリアや交通状況などの情報交換をしています。

仲間と成長し合えるのはいいですね。初めての乗務はいかがでしたか?

デビューはめっちゃ緊張しましたね。研修で地理を勉強したといっても、実際にお客さまをお送りしながら走ってみると道の見え方はまるで違います。「こっちでいいのかな?」とドキドキする場面も何度もありました。最初は手が挙がるたびに「ビクッ!」としていた気がします。
デビューして2ヶ月ちょっと経った今はようやく慣れ始めて、新宿区・港区はだいぶ覚えてきました。ただ、江東区や墨田区、葛飾区はまだ弱いですね。

印象的なお客さまとの出会いはありましたか?

ありますね。デビュー2日目のことです。40代後半くらいの男性がご乗車されました。新人の腕章がお客さまから見えなかったみたいで「その腕章なんですか?」と尋ねられました。「新人の腕章です。僕、新人なんです」と伝えると「じゃあ、道を教えるから大丈夫だよ!」とおっしゃっていただきました。

さらに、「今は右車線を通っているけど、ここは普段は左車線を走った方が、お客さんが見つかると思う!」とお客さまの見つけ方まで、教えてくださりました。こうした素敵なお客さまに出会うことが多いですね。私が明るくしっかり返事をしたり、挨拶すると「あ、車内が明るいねえ!」と言われることもあります。こうした出会いは嬉しいですよ。

素敵な出会いですね。
では、自衛隊時代の経験が生きているなと思う瞬間はありますか?

はい、ありますよ。自衛隊はチームで動きます。ですから、「今、上官は何を求めているのかな?」ときつい演習中でも先回りして考える癖がつきました。それはお客さまとの関わりも一緒に思います。
乗務中は常に「お客さまは何を求めているか」を考えています。些細なことなんですけどね。例えば、僕がデビューした頃はとても暑い時期だったので、冷房を少し寒いくらいにかけておいたんです。するとお客さまから「タクシーに乗ったら、涼しくて助かるわ!」と言ってもらえました。

先回りして考えることはとても重要なんですね。他にも乗務中気を付けていることはありますか?

運転では加速とブレーキングに気をつけています。おかげで「運転手さん若いのに運転上手だねー」と言ってもらえることもあります。あとは何よりも、安全運転ですね。運転を仕事にしている人にとっては本当に重要なことです。

たまに、急いでいるお客さまから、「早くして!」と急かされることがあります。タクシーに乗って開口一番、「朝9時に高田馬場へ行きたい!」というお客さまからは、「とにかく、追い越して!」と言われました。ご期待に応えたいところですが、万が一事故になったら、それこそもっと時間がかかってしまう可能性があります。その時は正直に「安全第一で運転しております。法定速度がございますので、その中で頑張ります」とお伝えします。
お客さまの安全も大事ですし、自分の安全も考えなければいけません。新人のうちは難しいですが、もっと上手く対応できるようになりたいですね。

誠実さが大事になってきそうですね。
今後の目標などはありますか?

国際自動車(kmタクシー)に転職してみて、「長く続けられる仕事に出会った」という感じがしています。夜も働く隔日勤務が体力的にきつくなったら、日中働く日勤という方法を選択すればいいですし、収入も本人次第なので何とかしていくことができます。

世の中ではAIで自動運転の時代もくるとも言われていますが、そういう時代だからこそ、「国際自動車(kmタクシー)の運転手さんだよね」というお客さまに寄り添った運転やホスピタリティが強みになるのではないかと思います。ですから、タクシーの未来についてはけっこう明るく考えていますよ。

国際自動車(kmタクシー)では、ホスピタリティを大切にしていますが
渡邊さんはどんなことを意識していますか?

「察すること」ですね。お客さまの状況に合わせて臨機応変に対応することを意識しています。ホスピタリティというと、コミュニケーションをたくさん取るようなイメージがありますが、時には「コミュニケーションをとらないこと」の方が大事な場面もあります。例えば、お客さまがとにかく目的地まで早く着きたいという時です。求められているのは安全と迅速さなので、必要のない会話は省きます。あくまでお客さまが求めているものを優先するのがホスピタリティだと思います。

「察する」というと難しく聞こえるかもしれませんが、お客さまの雰囲気でなんとなく分かりますよ。
例えば、時計をチラチラ見ながらタクシーを待っているビジネスマンが乗車してすぐに「赤坂!」とおっしゃったら、急いでるのは当たり前ですよね(笑)あからさまなサインが出ているのに、すぐ走り出せる準備をしていなかったらこちらの落ち度です。反対に、両手に荷物をたくさん抱えた女性がご乗車された場合は、比較的時間に余裕があるケースが多いです。帰宅するだけなので、少しゆっくりでも安全で快適な運転を重視した方が良いかもしれません。今何が求められているかを察して、最適なサービスを提供することがホスピタリティだと思いますね。

自衛隊での先を考える力がドライバーとしても発揮されてるんですね。
最後に、今後入られる後輩の方にむけてメッセージをお願いします!

一言でいうと「そんなに不安に思う必要はない」ですね。運転も地理もしっかりやれば、体得できる環境があると思います。新しい仕事に挑戦することは不安だとは思いますが、皆さんそうだと思います。私もはじめの頃はとてもビビりました。でも、それはタクシードライバーに限ったことではないと思いますよ。どんな仕事もはじめは大変だと思いますが、一歩踏み出してみることが大切なんだと思います。

ありがとうございます。これからもご活躍を楽しみにしています!